きょうの社説 2012年2月26日

◎休日バスレーン 定着させて二次交通充実を
 金沢市中心部の都心軸でことし秋から、平日だけでなく休日にもバス専用レーンが導入 される見通しになった。県、金沢市などでつくる交通実験実施協議会が昨年9月の休日に中心部で専用レーンを設ける実験を行ったところ、バスの運行時間が2割以上短縮され、一般の車の流れにも大きな影響がなかったという。

 北陸新幹線の開業効果を広げる二次交通は、金沢市内ではバスが主力となる。二次交通 を充実させ、高齢社会に欠かせない公共交通を便利にするためにも、休日バスレーンの定着を促したい。

 休日バスレーンの実験は昨年9月に土日と祝日の午後3時から6時半にかけて、国道1 57号・片町−武蔵間の上下線で行われた。効果があったことから、県や市などは早ければ9月の導入を目指している。金沢市中心部では、ことしから香林坊地区と武蔵地区の商業関係者が協力して駐車料金サービスの統合やイベントの開催に取り組むようになった。両地区を結ぶ休日バスレーンは、こうした街づくりの連携に弾みを付けることになるだろう。

 香林坊周辺では「香林坊ラモーダ」などの人気店の集客効果で休日の人通りが開業前の 倍以上になっている。休日に片町−武蔵間がバスで行き来しやすくなれば、にぎわいが中心部全体に波及することも期待できる。

 休日の金沢市中心部では、夕方にかけて買い物客の車などで混雑し、バスが渋滞に巻き 込まれることが多い。バスレーンが導入されれば平日と同様に公共交通の利便性向上につながるだろう。関係機関は導入が円滑に進むように準備を進め、実施を周知してほしい。

 専用レーンによって運行効率を上げることができるバス事業者はバスの利用を増やす努 力が求められる。金沢駅から片町にかけては同時刻にバスが何台も連なって走ることがよくある。発車時間をずらして運行間隔を調整すれば、駅と中心部の間を使う乗客にとって待ち時間が短くなり、利用者が増えるのでないか。

 3年後の新幹線開業に向けて、行政もバス事業者も工夫を凝らして二次交通を充実させ てほしい。

◎電子機器の再資源化 北陸の取り組みも参考に
 使用済みの携帯電話やデジタルカメラなどから希少金属を取り出す事業を推進するため 、政府は「使用済み小型電子機器回収促進法案」の国会提出を準備している。法案には、消費者に対して回収に協力する努力義務を課す規定も盛り込まれている。

 希少金属はハイテク機器の製造に不可欠で、ほとんどを中国などからの輸入に頼ってい る。また、不燃物の最終処理場にも限りがあるため、小型電子機器を回収し、希少金属を取り出す再資源化事業は、産業・環境政策の両面から国民挙げて取り組む価値がある。消費者の協力を得やすい回収のシステムづくりが急がれる。

 環境省と経済産業省は、小型電子機器のリサイクル制度を2014年4月から本格導入 する計画であるが、貴金属や希少金属の回収を目的にした小型家電のリサイクル事業が全国の一部市町村で先行実施されており、北陸はその先進地といってもよい。とりわけ富山県は積極的で、富山市や高岡市など各市が取り組んでいる。石川県では輪島市や白山石川広域事務組合、羽咋郡市広域圏事務組合などが実施している。

 分別・回収の仕方は地域によって異なり、富山の場合は各地に無料の回収拠点を設け、 市民が小型家電を持ち込む。また、石川の取り組みでは、自治体が回収した不燃ごみの中から職員が手作業で小型家電を分別し、業者に引き渡している例もある。政府はこうした先進事例を、新たに全国展開する小型電子機器リサイクル制度の参考にしてもらいたい。

 環境省の推計では、1年間に使用済みとなる電子機器は約76万トンで、その中に含ま れる有用な金属は約28万トン、金額にして874億円という。新制度の回収対象は、家電リサイクル法で義務づけられる4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)以外の約100品目が見込まれている。

 回収促進のため、法律で消費者に努力義務を課すのは認められるとしても、それですぐ に協力を得られるわけではない。広報活動などで事業の意義を国民に十分認識してもらう必要がある。