【第29回】 2007年11月30日
「医薬分業と高齢化が進むこれからの日本社会に合う新しい業態をつくりたい」と石田健二・CFS会長兼社長が語るように、現状の業態に対する強い危機感がある。業態間競争が激化し、体力消耗戦に突入すると見ている。
CFSは、調剤分野でのノウハウに秀でるアインとの統合で、ほかにない差別化された業態を確立したい考えだ。イオンも調剤は今後の鍵ととらえるが、アインがウエルシア関東と比べ、医療用医薬品の取り扱いや調剤のノウハウで上であることは間違いない。
このようにイオンとCFSのあいだには大きな溝があり、両社は「次元の違う案を出し合っている」(繁村京一郎・野村證券金融経済研究所シニアアナリスト)という指摘がある。
確かに、イオンのいうようにCFSの業績回復は喫緊の課題だ。10月はドラッグストアの既存店売上高が前年比を上回ったが、「本格的な回復と判断するのは早計だ」(小売関係者)。前期、不採算店舗の減損処理をしたが、そもそも出退店政策が後手に回っているとの指摘もある。
12月中にCFSはイオン案を受け入れるか否かの判断を下す。紛糾すれば、2008年1月開催予定の臨時株主総会で争うこともありうる。規模の追求で実を取るイオン案か、調剤分野の強化による差別化策を採るアインとの統合か、CFSはまさに岐路に立たされている。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 片田江康男)