拝啓、野田首相 名護・宜野湾より

2012年2月26日 10時25分
(15時間0分前に更新)

 就任から半年、米軍再編のパッケージを切り離した負担軽減の方針や一括交付金などの〝土産〟を手に初来県する野田佳彦首相。しかし、米軍普天間飛行場の移設問題については、県外移設を求める県民世論に背を向けるように、辺野古移設の方針を崩していない。移設問題で翻弄(ほんろう)されてきた名護、宜野湾両市の住民は「今さら説得なんて…」と期待値を下げつつも、「自分の言葉で語ってほしい」と首相の本音を求める。拝啓、野田首相―。あなたは県民とどう向き合いますか。

今さら何を説得

 名護市辺野古で移設反対の座り込みを続ける島袋文子さん(82)は「今さら何を説得しに来るのか。パッケージを切り離して負担軽減と言うが、何が軽減なのかさっぱり分からない」といぶかる。「沖縄に来るなら名護市民と向かい合い、話し合うべきだ」。首相と会談する仲井真弘多知事には「はっきり『基地ノー』と言ってほしい」と求めた。

骨埋める覚悟で

 辺野古区出身の上間正敏さん(49)=名護市東江=は「最低でも県外」と訴えた鳩山由紀夫元首相に、県内移設を止めるよう2度手紙を送った。しかし、沖縄への思い入れを感じない野田首相には期待できず、ペンを持つ気になれなかった。

 「岩国への移設は米国にノーと言えるのに、県内移設には何も言わない。沖縄を軽視しているとしか思えない」。今回の来県もアリバイづくりに映る。「沖縄に骨を埋める覚悟で、真剣に向き合ってほしい。しばらく沖縄に住み、現状を肌で感じてみてはどうか」と語った。

思い伝わらない

 「過去の首相と同じ発言を繰り返すばかりで、思いが伝わってこない」と話すのは名護市の事務職、宮里美智留さん(36)。具体的な解決策がないまま「理解を求めたい」という野田首相の真意を測りかねている。「沖縄や米国では変化が起きているのに、なぜか変わらないのは日本政府だけ。一体、何を考えているんですか。野田さん、自分の言葉で本音を語ってよ」

早く本土並みに

 宜野湾市に移り住んで20年になる立津利子さん(73)=無職=は「復帰40年だが、沖縄はなかなか本土並みにならないですね」と焦燥感を募らせる。普天間飛行場を視察する首相に「積極的に解決してほしい」と返還を求めるが、「辺野古も県外も難しい。どうなるのか」とため息も。「沖縄は戦争の跡が残ったまま。早く本土と同じようにしてほしい」と求めた。

米軍機に違和感

 仕事で宜野湾市に通う川端祐樹さん(33)=八重瀬町、介護福祉士=は「上空を(米軍機が)バンバン飛んでいて、いまだに違和感を覚える」と全く慣れない。

 普天間問題の解決に首相の考えが見えない中、せめて「県外移設を求める知事の意見に耳を傾けて」と語気を強めた。

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