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J・フロントリテイリング:パルコ買収発表 「都市型」へ変革加速 売り上げ縮小の中

 大手百貨店の大丸と松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングは24日、ファッションビル大手パルコの筆頭株主の森トラストから3月下旬に33・2%の保有株式すべてを301億円で買い取ると発表した。国内百貨店の売り上げが縮小する中で、業態を越えた再編で生き残りを目指す動きが活発化しそうだ。一方、大手スーパーのイオンもパルコの大株主として業務提携を模索してきた経緯があり、今後の出方が注目される。【久田宏】

 パルコを巡っては、日本政策投資銀行も18・7%に相当するパルコ株に転換できる社債を保有している。Jフロントは24日、「(現時点で)他の株主からの株式取得の予定はない」とコメントしたが、パルコの子会社化に向け、この社債の買い取りや他の株主からの株取得を検討する方向だ。

 Jフロントがパルコ買収に踏み切った背景には、15年連続で売上高が減少している国内百貨店業界の窮状がある。Jフロントは「脱・百貨店」を掲げ、低価格品の拡充など従来の百貨店のイメージにとらわれない店舗戦略を展開。これが奏功し、12年2月期は3期連続の連結最終(当期)増益を見込む。今回のパルコ株取得にも、「都市型商業施設の開発や運営で優れたノウハウ」(Jフロント)を持つパルコとの連携を深めて百貨店の変革を加速させる狙いがある。

 パルコも一部店舗で協業関係があり、Jフロントとの業務提携について「要請があれば、相乗効果が生じるよう協議したい」とコメントした。

 ◇2位株主、イオンの動向焦点

 今後の焦点はパルコ株12・3%を保有し、2位の大株主のイオンの対応に移る。イオンはパルコが持つノウハウを海外や国内都市部のショッピングモール開発に活用しようと、昨年2月までに株式を取得。森トラストと共同歩調を取り、パルコに経営陣刷新やイオン出身役員の受け入れを求め、業務提携の協議開始にこぎ着けた。

 しかし、昨夏に始まった協議は「双方が考えを述べる程度」(パルコ関係者)にとどまり、成果は出ていない。関係者によると、森トラストはパルコ株をイオンへ譲渡することも検討していたが、イオンは今年2月上旬、取得断念を伝えてきたという。協議が進まないまま保有比率を上げればパルコ側の反発が強まることを懸念したとみられる。このため森トラストは、同時期にパルコ株取得を打診してきたJフロントへの売却を決めた。

 Jフロントが筆頭株主になったことで、イオンがパルコとの提携効果を発揮するのはさらに難しくなるとみられ、パルコ株を持つ意味は薄れる。それでも業務提携の具体化を目指すのか、提携を断念して株を売却するのか選択を迫られる。

 イオンは24日、Jフロントのパルコ株取得について「事前に連絡がなかった」と不快感を示した。ただ、パルコ株をすぐ売却すればJフロントに有利になるため、当面は保有を続け今後の戦略を練る構え。パルコの経営権を巡る攻防は、主役を交代して再燃しそうだ。

毎日新聞 2012年2月25日 東京朝刊

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