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政府と双葉郡の協議が急きょ中止に

2月26日 18時56分

政府と双葉郡の協議が急きょ中止に
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政府は、26日、福島県双葉郡の8つの町村長と除染作業で出る土などを保管する中間貯蔵施設などについて協議する予定でしたが、3人の町長が欠席し、協議は急きょ、中止されました。欠席した双葉町長は、中間貯蔵施設を巡る政府の対応への不信感を記者会見で表明しており、政府は改めて説明をして理解を求めたうえで協議を開くことにしています。

26日の協議は、政府から細野環境大臣と平野復興大臣が出席し、福島県双葉郡の8つの町村長と行うことになっていたもので、政府が去年の年末に双葉郡内への設置を要請した除染作業で出る土などを保管する中間貯蔵施設などについて、郡山市で意見を交わす予定でした。
ところが、26日午前になって、双葉郡の町村会の会長を務める双葉町の井戸川町長が平野復興大臣などに欠席の意向を伝え、これを聞いた広野町の山田町長と浪江町の馬場町長も欠席したため、協議は急きょ、中止となりました。
このうち、井戸川町長は、町役場の移転先となっている埼玉県の元の県立高校で会見し、中間貯蔵施設の建設用地などを巡る一部の報道を取り上げて、「丁寧な会議を希望していたのに、国との信頼関係に問題が生じた。知らないところで政府が決めていくことに対して恐怖を感じた」などと述べ、政府の中間貯蔵施設を巡る対応や議論の進め方に対する不信感を示しました。
また、広野町の山田基星町長は、「けさ、双葉町の井戸川町長から欠席するという連絡を受けた。中間貯蔵施設という大きな問題を全員の足並みがそろわないなかで、議論すべきではないと判断し、出席を見送ることにした。今後、なるべく早い段階で、双葉地方町村会での議論の場を作れるよう努力していきたい」と話していました。
協議の中止を受けて、会場を訪れていた5人の町村長や平野復興大臣と細野環境大臣は、今後の対応を話し合いました。
この中で、政府側が中間貯蔵施設などの課題を話し合うために、国と8つの町村、それに福島県が入った協議会を近く開きたいと申し入れたのに対して、5人の町村長は受け入れる考えを示すとともに、欠席した3人の町長には、国が説明するよう要望したということです。
政府は、中間貯蔵施設の設置についての正式な要請から2か月近くたっても双葉郡内の足並みが揃わず、正式な協議を開けていないことから、中間貯蔵施設とあわせて賠償やインフラ整備などの対策についても各自治体に丁寧に説明し、改めて理解を求めていくことにしています。

細野大臣“われわれに責任”

5つの町村長との話し合いのあと、細野環境大臣は記者団に対し、「きょうは、もともと中間貯蔵施設の用地買収というような踏み込んだ話をするつもりはなかった。中間貯蔵施設を受けいれていただくことは非常に難しいということは分かっていて、われわれも厳しい話をしなければならないところもあり、乗り越えていくしかないと思います。こういった形になったことは我々に責任があります」と述べ、協議が中止になったことについては政府に責任があるという認識を示しました。
そのうえで、「中間貯蔵施設は除染にはどうしても欠かせない施設で、それが福島のためでもあることを、ぜひ理解していただきたいです」と述べ、近く、国と県、8町村が参加する協議会を開き、政府として具体的な話ができるよう準備を進める考えを示しました。
一方、平野復興大臣は、双葉町の町長などが欠席したことについて、「きょう午前、双葉町の井戸川町長から電話があった。早い段階で、接触して話し合いたい」と述べました。
そのうえで、平野大臣は、「避難区域でのインフラ整備や賠償の問題などは、国が基本方針を立てて、自治体や避難している人に説明していく。そのためには、県も含めて、関係する自治体と協議会を作って議論していくことは大事だ」と述べ、中間貯蔵施設の問題を含め、避難区域のさまざまな課題を話し合う必要があるとして、関係する自治体との協議会を早急に設立するため、双葉町などに理解を求めていく考えを示しました。
政府と双葉郡の自治体との協議が中止となり、政府側から、今後、国が主催する協議の場に福島県も参加することを要請されたことについて、佐藤知事は26日夜、コメントを発表し、「全員参加のもと、協議の場が設定されることを期待するとともに、県としても広域自治体としての役割をしっかり果たしていきたい」と述べ、協議への参加に前向きな考えを明らかにしました。

中間貯蔵施設の経緯

福島県内での除染作業で出る汚染された大量の土などを保管するための中間貯蔵施設を巡っては、去年の年末、細野環境大臣が、佐藤知事や原発周辺にある双葉町や大熊町など福島県双葉郡の8つの町村長と行った会談で、双葉郡内への設置を正式に要請していました。
設置場所については、郡内の被ばく線量が年間100ミリシーベルトを超えるような高い地域で、国が買い上げるなどした土地に建設したいという考えを示していました。
これを受けて、双葉郡内の町と村、それに福島県は、要請を受け入れるかどうかや、施設に関する考え方を議論するため、先月12日、初めての会合を開きましたが、東京電力福島第一原発が立地する双葉町の井戸川克隆町長が、「住民の理解が十分でない」として会合を欠席し、中間貯蔵施設を巡る地元の議論は、一時、不透明な情勢となっていました。
その後、先月17日に開かれた会合で、双葉郡の町村長らは、双葉町も加えた郡全体で意見の集約を図っていくことを決め、その後、国から説明を改めて聞く方針も確認されたことから、政府の要請からおよそ2か月がたつ26日、政府と町村長との初の協議が開かれる予定でした。