2012年2月26日03時00分
大リーグ球団の放映権ビジネスが活況だ。今や年間100億円以上の巨額契約も珍しくない。レンジャーズが総額1億1千万ドル(約89億円)超を投じて日本ハムからダルビッシュ有を獲得したように、球団の懐に入る「テレビマネー」が超大型補強を後押ししている。
「ローカルテレビからの資金が大リーグ全体の景色を一変させている」。米スポーツ専門チャンネル「FOXスポーツ」の幹部は、米メディアにこう語った。
象徴的なケースが、ア・リーグ西地区の強豪レンジャーズだ。全国紙「USA TODAY」によれば、FOXスポーツ傘下の地元局と2010年に20年総額30億ドル(約2400億円)の契約を結んだ。大リーグの放映権収入は、全国中継分はコミッショナーが一括管理して分配するが、ローカル分は球団に入る。これがダルビッシュ獲得を後押しした。
同地区のエンゼルスが同じFOX傘下の地元局と結んだ契約額はレンジャーズ以上という。オフのFA市場では現役最強打者のプホルスに昨季16勝のウィルソンと、投打の目玉を一挙に獲得。合計3億1750万ドル(約260億円)の巨額契約でポストシーズンをにぎわせた。
次に大型契約を勝ち取りそうな球団は、15年までに更新期を迎えるイチローのマリナーズやドジャースなど。ただ、各球団の本拠地の人口や市場規模の違いがそのまま戦力差につながる恐れがある。
日本のプロ野球は大リーグとは対照的に、放映権収入の落ち込みが激しい。かつて「1試合1億円」と言われた巨人戦が毎試合のように地上波で中継されていたのは05年までで、10年には27試合に激減。BS・CS放送が増えたが、1試合あたりの相場は下がっている。(渡辺崇)