キム・イェソルさんは、車椅子で大学に通い、24日にソウル大美術学部デザイン学科を卒業した。キムさんは下半身が不自由で、肢体障害1級の判定を受けている。キムさんは苦労して受け取った卒業証書もさることながら、5年の在学期間にソウル大が障害者に心を開いていった過程を見守れたことに満足している。キムさんが入学した2007年当時、ソウル大の講義室、運動場、講堂、食堂などには、障害者に配慮した施設はなかった。困ったキムさんは、李長茂(イ・ジャンム)総長(当時)に電子メールで事情を訴えた。すると、大学側はすぐに美術学部に障害者用のエレベーターやスロープを設置した。その後、大学側は20億ウォン(約1億4000万円)をかけ、障害者用のエレベーター41基、トイレ52カ所、スロープ53カ所を設置し、障害のある学生も安心して通えるようになった。昨年末に通信大手KTに入社したKさんは「頑張って生きていかなければ」と心に誓った。
ソウル大では、03年4月に体の不自由な学生が大学本部前で「私たちも学校に通えるようにしてほしい」とデモを行うほど、施設が整っていなかった。地方大学の多くは今も、9年前のソウル大と変わらない状況だ。
米ハーバード大ケネディスクールは、1996年に体が不自由な韓国人学生、イ・イルセさんが入学すると、学校で唯一の障害者であるイさんのために、大学院の建物のドア3カ所を自動ドアに交換し、コンピューター室に専用室を作った。ポリオ(小児まひ)のため、松葉づえを使っていた故チャン・ヨンヒ教授は、2001年に客員教授としてハーバード大に在籍していた当時、アパートのエレベーターが故障し、周辺住民の通報を受けた救助隊員6人が消防車2台に乗って現れ、救出してくれたと話していた。
韓国社会の障害者に対する配慮はかなり改善したが、障害者雇用の面では依然として後進国だ。30大企業グループに属する592社で昨年、障害者義務雇用比率(2.3%)を満たしたのは150社にすぎない。障害者が働ける社会インフラがなければ先進国とは呼べない。職場や街頭で障害者の姿が見えない社会ほど、文明指数が低いということを忘れてはならない。