インタビュー:福島と同規模事故も対応可能、原発関与強化を=細野担当相
東電が福島事故で負った損害賠償金を支払うために、これまでに1兆5800億円の政府援助が決まり、年内に1兆円規模の公的資本注入を受ける可能性が高まっている。民営による責任体制の限界を露呈したことで、従来の国策民営の仕組みを「見直すべき」(国のエネルギー政策見直し議論に参加する寺島実郎氏)との声も聞かれる。この点について、細野担当相は、「国の関与の度合いを強めるべきだと思う。法定化されていなかったシビアアクシデントを法律に書いて、(対策を)事業者に義務づけることなどが典型だ」と述べた。
その一方で同氏は、電力会社が手掛ける原発事業を国営化や国有化にまで踏み込むべきかどうかについては、「現場がイノベーションして、常に安全について努力するマインドがなければいくら規制を強くしても、本当の意味の安全を確保出来ない。国営化が原子力の安全確保の近道だとは思っていない」とも指摘した。
<原発の安全性は犠牲にできない>
今月20日に関電高浜3号機が定期検査のため停止し、全国の原発54基中、残る稼動原子炉は2基となり、停止中の原発の再稼動がないと4月末には稼動はゼロになる。需要がピークを迎える夏に一昨年並みの猛暑が来た場合、緊急電源の設置などの対策を講じても全国で7%の供給不足に陥ると試算されている。
電力の安定供給について細野担当相は、「再生可能エネルギーの確保とか一時的に頼らざるをえない化石燃料の安定的な確保は国が責任を持ってやらなければいけない」としながらも、「日本社会は電力の安定供給を目的として原発の安全性を犠牲にすることはしないし、すべきではない。原子力に関しては安定供給を度外視して、安全性を最優先して本当に厳しい規制の中で動かすべきものだけを動かすという発想に立たなければいけない」と強調した。
(ロイターニュース、浜田健太郎)
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