憂楽帳

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憂楽帳:アジアに近い?

 「アジアに近い地理的特性を生かす」

 最近、この言葉を聞く機会が多い。福岡市役所かいわいでは「成長著しいアジアの活力を取り込む」のフレーズと一緒によく登場する。世界的不況でも元気な中韓両国経済の恩恵を受けるには、距離が近い福岡に利があるとの趣旨で使われるが、果たしてこの「特性」、どれほど特別なのか。

 インターネットで「アジアに近い特性」を検索すると、多数ヒットした。北九州市に佐賀、沖縄。九州の自治体は皆、同じ「特性」をアピール。国土交通省も日本海側の港湾全部が「アジアに近い」と明記する。日本はアジアの一部なのだから、当たり前のことだろう。

 古来から福岡は大陸との交流を通して成長してきた。それはアジアに「近い」からではなく、大陸文化を受け入れ、自分のものとする度量があったからこそできたこと。

 博多祇園山笠発祥の地・承天寺建立に尽力した博多商人、謝国明も中国生まれ。島国根性的な「アジアに近い」という物言いはやめ、「アジアの福岡」を自覚してこそ、本来の力が発揮できるに違いない。【門田陽介】

毎日新聞 2012年2月25日 西部夕刊

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