第21回(2000年)
ご挨拶 実行委員長 鈴木定夫
年は新ガイドライン関連法を皮切りに、国旗・国歌法(「日の丸・君が代」法)、盗聴法などさまざまな法律が矢継ぎ早に成立しました。また、国会には憲 法調査会が設置され憲法を変えようとする動きも強まっています。これは外には日本の軍事的行動の可能性を拡げるものであり、内には市民生活への抑圧を強め るものです。1999年は、日本が急速に「加害の国」ヘと変貌し危険が増した年と位置づけることができるでしょう。
日本は、戦前、台湾や朝鮮を植民地支配し、一方では日本国民のなかにアジアの人々ヘの蔑視観を植えつけていきました。関東大震災のときには、 混乱のなかで他民族に対する不信感をあおる形の「デマ」が流れ、数千人にのぼる朝鮮や中国の人々が虐殺されたことは広く知られています。
日本はさらに中国も支配しようとして足かけ15年にも及ぶ侵略戦争を行いました。この戦争では、3月10日の東京大空襲や8月の広島・長崎へ の原爆投下、沖縄での地土戦という惨禍もへて国内310万人の犠牲者を出しました。一方で日本の国民は、アジアの2,000万人にも及ぶ人々を死に追い やった加害者でもありました。あの戦争で被害を被った日本そしてアジアの人々の失われた尊厳は、戦後55年たった今でも、回復されたとは言えません。
今年、西暦2000年は、「平和の文化国際年」です。これは、「戦争と暴力の20世紀」から「平和と非暴力の21世紀へと変えていくことを願 い、ユネスコが提唱し、国連総会で採択されたものです。私たち「平和のための戦争展」もその趣旨に賛同し、ピースパートナーとして活動していきます。
高校生も参加する私たちの「戦争展」は、今年21回目を迎えます。今年は「記憶の継承」をテーマに、過去の加害の戦争体験や被害の体験そして 体験者への向きあいを通して、若い世代が何を教訓として汲み取り、また何を次の世代に伝え、そして今できることは何なのかを考えながら、展示の制作に励ん でいます。
どうぞ戦争展におこしくださり、若者たちと体験者共同のメッセージをお聞き取り下さい。
●●●タイムテーブル●●●
12日(土) | 13日(日) | 14日(月) | 15日(火) | |||||
証言 | ビデオ | 証言 | ビデオ | 証言 | ビデオ | 証言 | ビデオ | |
10時 | 開幕式 | |||||||
つるにのって27m | 地球のかざぐるま32m | つるにのって27m | ||||||
11時 | 開幕イベント | 米田チヨノさん(被爆体験) | 寺沢茂さん(被爆体験) | 友谷幾さん(被爆体験) | ||||
つるにのって27m | 証言侵略戦争43m | 証言侵略戦争43m | 天皇の名のもとに50m | |||||
12時 | 出島艶子さん(被爆体験) | |||||||
生きている間に語りたかった40m | 金子安次さん(加害体験・毒ガス戦) | 三木栄一さん(加害体験) | 小山一郎さん(加害体験・三光作戦) | |||||
13時 | 信太正道さん(特攻隊) | フィールドワーク説明 | ||||||
高校生の見た沖縄30m | つるにのって27m | 命どう宝25m | ||||||
14時 | 証言侵略戦争43m | 高校生イベント | 守屋ミサさん(看護婦の見たヒロシマ) | |||||
富永正三さん(加害体験・野戦中隊長として) | 東京大空襲18m | 人間の住んでいる島25m | ||||||
15時 | 黒川万千代さん(被爆体験、アンネ・フランクの話) | あなたのまわりに周辺事態25m | 上江田千代さん(沖縄・ひめゆり部隊) | |||||
地球のかざぐるま32m | 証言中国人強制連行41m | |||||||
16時 | 真実井房子さん(被爆体験) | 篠塚良雄さん(加害体験・731部隊少年隊) | 湯浅謙さん(加害体験・生体解剖) | |||||
17時 | ドキュメント沖縄戦57m | 語り部731部隊36m | 教えられなかった戦争-侵略マレー半島-110m | |||||
18時 | ひとりでもやるってば元「慰安婦」宋神道さん25m | |||||||
戦争に反対した人々 | ||||||||
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●感想
・私は、日本が過去に行った過ちを反省し、アジアの人々に償いをしなければならないという思いがあります。それと同じくらいに、死んでいった日本兵にも熱 い思いがあるのです。なぜ今の日本がこんなに平和であるのかということを、もっと深く考えなければいけないと思います。はっきり言ってこの展示物は、思想 が偏っていると私は思います。私は国旗国歌法は大賛成している人間です。(28歳、男性)
・日本の敗戦は「敵を知り、地の利を知り、己も知れば百戦危うからず」の兵法を無視したことも大きいと思いました。現在の平和はアメリカ人、中国人、南北 朝鮮人、ベトナム人等の犠牲の上に成り立っていることも忘れないでください。朝鮮戦争、ベトナム戦争のための軍需産業で現在の経済大国の礎を築いたので す。私はそのような平和を「平和ではない」とは身勝手だと思います。(23歳、男性)
・盧溝橋で最初に発砲したのは中国軍です。このことをハッキリ書くべき。南京で20万人が殺された?南京大虐殺はなかったという説も紹介すべき。片側だけ の意見では特定のイデオロギーを持った団体の宣伝と見られても仕方がない。従軍慰安婦。まだこんな戦後出来た(つくった)言葉を使っているの。強制連行。 勤労奉仕や労働者募集を強制連行などと勝手に創作しないで。創氏改名。日本の内務省(警察)は反対しました。これは強制ではなく自由意思です。ちなみに台 湾で改名したのは少数でした。朝鮮では面長(村長、ほとんど朝鮮人)が競って創氏改名をあおったのです。(63歳、男性)
・憲法調査会の中で、日大法学部教授の青山という人に、三尾さんのパネルを見てほしい。三尾さんが二日酔いで証言、謝罪を続けたのかどうか、尋ねてみたい。そんな人が知識人ぶっていることが腹立たしい。(24歳、女性)
・私は1939年生まれですが、いつも思うのは戦前、自分が余り不自由なく生まれてた頃、朝鮮、台湾、中国の富を奪っていたわけで、その上に自分の命が あったのだと思うことです。戦後も朝鮮戦争、ベトナム戦争の軍需景気で日本は豊になったことを思うと、自分が不自由なく今生きていることをわびなくてはな らないように思います。これだけ不景気が振興してきて、また儲けを確保しようとするとき、戦争が一番の儲けになると、戦争をわざわざ起こすことがあると思 います。そういうときに反対できる自分でありたいといつも思います。(60歳、男性)
・李秀梅さんの訴えに涙が出るほど心を痛めた。日本人が、私たちと同年代の少女たちを強姦した。この事実はなんとなく先生から聞いたことがあったが、これ までにひどいものとは思えない。私も同じ女として、女を道具としてしか思わなかった過去の日本人に強く訴えたい。彼女たちの訴えを癒すために、日本人が私 たちができることは何かを考えたい。(17歳、女性)
・平和になるのは何年もかかるのに、戦争をするのは簡単なんだと思いました。日本は今まで被害のことしか認めてないけど、加害も認める必要はあると思います。(19歳、女性)
・こういうものを見るのは嫌いでしたが、やはり嫌いなままでした。いたいたしくて見てられないからです。しかしそれでも知らなければならないと思いました。(16歳、女性)
・45年間生きてきて、証言(原爆体験)を初めて聞きました。生の証言に胸がいっぱいになり今は余り書けません。(45歳、女性)
・普段ほとんど意識していないけど、「加害の国への変貌」の憲法9条改正などを見ると、実は現在日本ってかなりヤバい状態にあるのか-?とこわくなる。し かし、戦時中こんなにおかしかったのは日本だけなのか? 戦争というのはもともとそういうものなのか? 今の日本は多分、平和だと思う。(26歳、女性)
・戦争展を見てるといったい誰が一番悪かったのか、良かったのかわからなくなってくる。日本軍が中国人やアジアの人々にひどいことをしたのを見て、なんて ことをしてしまったのだろうと思うけど、日本人も原爆を落とされたり、自決してしまったりしている。私たちがアジアの人たちに対し得どんな形で責任をとれ ばいいのか、戦時中に生きていた人だけでなく私たち若者も考えなくてはいけない。(14歳、女性)
・金子さんの話や写真を見ると人をたやすく殺してしまう人間の恐ろしさ、意志の弱さを痛感しました。(15歳、男性) ※注 金子さん=金子安次さん、中国帰還者連絡会会員
・幼いときから“戦争が正しい”と教えられたら私だってどうなるかわからない。私は今戦争がどういうものか知っている。戦争が人間を鬼にするものであると いうのも知っている。知っているからこそ出来ることがあると思う。三尾豊さんは自分の罪を戦後に知って、とても後悔しただろう。自分の罪を償うために証言 していたことはすばらしいと思う。その中で加害者と被害者が理解しあえるものだから。日本政府もそのことを忘れないでほしい。(18歳、女性)
・自分は過去に兵器を製造したことがあります。入社した動機は篠塚さんと同じでハイテクへのあこがれでした。今は退社し、別の会社で仕事をしています。今でも正しいことなのか、いろいろ考えています。(26歳、男性) ※注 篠塚さん=中帰連会員。少年兵として731部隊へ
・人を殺したり、生体実験をした人はもちろんいけないことだ。しかしそれと同時に加害者は戦争の被害者でもあると思う。加害をして心の傷をおって、今も苦 しみ続ける人がいっぱいいる。それだからこそ戦争は二度と起こしてはいけないと思う。…そして死んだ人や苦しんでいる人に同情するだけでなく、真の平和を つくっていくのが僕たちの義務だと思う。(14歳、男性)
・戦争中の遺品は現代と過去の連続性を感じさせた。過去の「日常」にこそ意外とリアリティがあるかもしれない。(29歳、男性)
・加害の証言をしておられる三尾さんのような方がなぜもっと出てこられないのか。ご本人の問題だけでなく匿名でなければ何も口に出せない日本的な状況……がなぜ55年たっても変わらないのか。私たちは出来ることで支援し続けなければならないのです。(55歳、女性)
・戦争法を実効させないためには、より多くの方々に広め、くい止めねばと思います。地方自治体には“赤紙”を発行させない力を付けていかねばと思います。(49歳、女性)