# FX意識改革70 「あなたが勝てないのは、これが原因ではないですか?」
2012.02.19 Sunday
これはとあるふたりのトレーダーの話です。 仮にAさんとBさんとしましょう。 ふたりはだいたい相場の経験量が同じで、同じ能力を持ち、同じ手法を使っていました。 ただ、性格的にAさんはよく言えば大胆不敵、悪く言えばズボラなところがありました。 Bさんはというと、家計簿をつけるタイプで、マメな性格をしていました。 また、トレードの力量は同じだったのですが、運用額の考え方が違っていました。 Aさんは、運用額を決めておらず、利益が出たら出金せずに運用を続けていました。 Bさんは、運用額を100万円と決め、月10万程度のプラスを目標に掲げてました。 さて、AさんとBさんが、3ヶ月間トレードをした結果、 安定的に勝てたのはBさんでした。 一方、Aさんはというと、勝つどころか500万もの大金をなくしてしまったのです! トレードの力量は同じだったのに、なぜそうなってしまったのでしょうか・・・? AさんとBさんのトレードを追ってみましょう。 当初AさんはBさんと同様に慎重にトレードをしていました。
なるべく高くなったら売り、安くなったら買うように待ってから エントリーをして、逆にいったらすぐ損切るようにしてました。 2週間ぐらいは、勝ったり負けたりを繰り返しながら少しづつ資金が増えていました。 上出来の展開でしたが、あるときAさんに転機が訪れました。 好調だったAさんは相場に恵まれたこともあって7連勝を達成して、 一気に20万ももうかってしまったのです。
しかし、儲かったはずのAさんは満足していませんでした。
「7連勝してたった20万ぽっちか。もっと運用額を増やしていたら倍勝てていたはずだった。 今からでも遅くない、勝てるんだから運用額を増やしてみるか」 と考え、追加入金をして運用額を500万に吊り上げました。 「運用額が増えれば、儲けも増える」・・・はずだからです。 しかし、運用額が増加したのと同時に、少しづつAさんの心に変化が起こりました。 運用する額が大きくなると、当然ながら1トレードで動くお金も大きくなります。 100万円で5枚程度でやっていたときは、損切は大きくても2万円でした。 この程度なら損切ができていたAさんですが、30枚程度でやるようになると、 勝った時は大きいのですが、損切も5万円以上になっていき、 しだいに損切をするのが難しくなってきました。 損切を機敏に行うことができず、躊躇して時間がかかるようになってしまったのです。
そんなある日の夕方ごろの話です。 ユーロドルが1時間足レベルで上昇トレンドになっていたので、 Aさんはさっそく強気に30枚ほど買いました。 しかし、買った直後に調整が入り落ちてしまったのです。 その瞬間に損の額は10万円になってしまいました。 「あー、ポジションとった瞬間逆いっちゃったけど、これはすぐに戻るだろう」 と、Aさんはあまり深刻に考えずにすぐに損切をしないで待つことにしました。 なぜなら、上昇トレンドだからしばらくすれば上がるだろうと考えていたからです。 そのとき友人から飲み会の誘いがあり 「ちょっとだけならいいか」と軽い気持ちでストップをおかずに出かけてしまったのです。 その後、夜10時ぐらいになるとニューヨーク市場で突然ユーロ危機が再浮上して、 数時間でユーロドルが200pipsも急落するという変動が起きました。 相場の状況は上昇基調から一変しました。 Aさんは、飲み会の席でレートチェックをして青ざめました。 「いまさら損切しても大損だし、戻ってくるのを待とう」と判断したのです。 ・・・しかし、相場はそれから3ヶ月たっても戻ってくることはありませんでした。 たまに上がることもあったのですが、焼け石に水といった状態で、 大損には変わりないですから、ポジションを手仕舞いすることはできませんでした。 トレードをしないまま、証拠金維持率とにらめっこの状況が1ヶ月、2ヶ月と続きました。 運が悪いことに粘れば粘るほどチャートはジリジリと下がっていきます。 さらに追加入金をしてナンピンをしてみるも相場は回復せず、 ついにあの日から3ヵ月後、激しい急落が起こり、ロスカットで大損となってしまったのです。 Aさんは、結局、−500万以上の大損をしてしまいました。 一方、Bさんはどうなっていたでしょうか? あの急落のときはAさんと同じくユーロドルをトレードしていました。
予期せぬ突然の急落ではありましたが、 それはいつもどおりストップにかかって小さな損切で切り抜けられました。 その後は、相場の流れどおりにショートから入っていって、大きく利益を取ることができました。 なんのこともなく、損切の損はその日のうちになくなり利益に変わりました。 そしてBさんはAさんがチャートを見ながら祈り続けていた3ヶ月間、 地道にトレードを重ねてきました。そして現在もデイトレが続けられています。 Bさんはここまで月+10万程度の上積みができていて、 月末にもうかった分は出金をして利益を確定していました。 現在は3ヶ月間で30万のプラスとなっていました。 華々しいカリスマトレーダーに比べたら小さな儲けですが、Bさんはこれで十分だと思っています。 ・・・さて、AさんとBさんのトレード能力は同じでした。 しかし、結果はAさんは元本を吹き飛ばし、Bさんは元本を守って勝ちました。 一体、Aさんの何がいけなかったのでしょうか・・・? それは、Aさんが自分がコントロールできる運用金額を見誤ったからです。 Aさんが運用できる金額は、実際は100万円が限度でした。 その限度を超えた運用をしたから、自分のトレードができなくなった。 ただそれだけが敗因だったのです。 しかしAさんは負けた原因が手法にあると思い、別の手法を探したり、 挙句の果てにシステムトレードや自動売買を始めましたが、 完全に自分のトレードを見失う結果となってしまったのです。 勝つためには手法も大事ですが、 それよりも「自分の身の丈にあった額でトレードをする」 ということがAさんにとっては最優先課題だったのです。 しかし、欲張り者のAさんは運用額を下げるという考えがどうしてもできませんでした。 なぜなら、すでに大負けしているから大きく取り戻したい ・・・という欲望に完全に心が支配されてしまっているからです。 Aさんは今後も大きな損を重ねるはずです。 そして最後は相場から完全に退場することになるでしょう。 一方Bさんは、Aさんと違って、身の丈をよく知っていました。 自分が冷静に運用できる金額は100万円までで、 それ以上になると損切ができなくなることも知っていましたから、 その範囲を超えない額でやることを第一としたのです。 結果的には、それが大正解。 Bさんは大もうけはできなかったですが、安定的に毎月勝つことができたのです。 Bさんは毎月トレード報酬が+10万もあれば、御の字だと自分に言い聞かせました。 これからもBさんは身の丈のトレードを守っている限りは、利益を残すことができるでしょう。 さて、この話を聞いて他人事ではないと思った方も多いのではないでしょうか・・・? トレードで勝てないという方へ、私がアドバイスすることはただひとつです。 「運用額を下げてください。それもケタ1つ下げましょう」 100万円で勝てないなら、10万円で、 10万円で勝てないなら、1万円でやりましょう。 勝てない人の大半は、運用額が大きすぎて自分が冷静に扱える限界を超えているから、 トレードにならないのです。
「トレードで勝てる能力」と「運用金額を増やせる能力」はまったくの別物です。 つまり「トレードで勝てる」と「大もうけができる」は、イコールではないんです。
自分が冷静にトレードできる運用額の限界、それをよく認識して、 Bさんのようにトレードをしてください。
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| - | - | 11:47 | category: FX意識改革(メルマガ転載) |