【経済】東京都が中部電から電力購入 契約打診2012年2月25日 09時01分 東京都が新宿区の都庁舎で使用する電力の供給を中部電力(名古屋市)に要請していることが分かった。中電東京支社を通じて契約を打診した。2005年の電力自由化で、電力会社が営業区域を越えて、企業や自治体など大口需要家に電力供給することが容易になっている。東京都が中電と契約を結べば、他の大口需要家へ波及する可能性がある。大口需要家向けに平均17%の値上げを表明している東京電力に値上げの再考を促す狙いもある。 中電は本紙の取材に、東京都から申し出があったことを認め「現在検討中であり、具体的にはお話しできない」としている。 都庁舎では昨年3月〜今年1月までの11カ月間で3500万キロワットの電力を使用。今月末までの1年間では約3800万キロワットと見込まれ、東電へ支払う電気料金は5億5千万円に上る見通し。東電が4月以降に17%を値上げすると1億円の負担増になる。 都庁舎の契約電力は1万1千キロワット。都は停電リスクを避けるため、今年4月から西新宿の高層ビル群に地域冷暖房を供給している東京ガス子会社の発電施設から、都庁舎に3千キロワットの電力供給を受ける方針。残る8千キロワットをすべて中電との契約に切り替えたいとの意向を示している。 東電株式の2・7%を保有する第3位株主の東京都は、東電のリストラ策など経営効率化の取り組みが不透明だとして、東電に値上げの根拠を示すよう要求。大口需要家向けの一律値上げは中小企業への打撃が大きいとして、値上げ案に強く反対している。 中電はもともと、他の電力会社と比べて原子力発電への依存度が低く、昨年5月に浜岡原発の運転を停止した後も供給余力があり、この冬も九州、関西、東北の各電力会社に電力を融通。東日本と中部を含む西日本では周波数の違いがあるが、計約100万キロワットまで周波数を変換して融通できる。東日本大震災を受けて、変換設備の増強も検討されている。 電力会社が営業区域を越えて電力供給する例としては、九州電力(福岡市)が05年11月から広島市内の大型スーパー・ジャスコ宇品店に年間1300万キロワットを供給している。 <管外需要家への売電> 中部電力が東京都庁と契約して送電する場合、東京電力の送電線を使うため託送料を支払う。中電から契約と同量の電気が東電の営業区域に送られるが、電気に区別はないため、実際には東電からの供給のうち、都庁との契約分を中電からの送電とみなす。また東日本と西日本で電気の周波数が異なるため、変電設備で周波数を60ヘルツから50ヘルツに変換する。電力小売り自由化が2000年3月から段階的に拡大し、05年4月から契約電力50キロワット以上の事業所や工場は、地元の電力会社以外からの電力購入が可能になった。 (中日新聞) PR情報
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