枝野幸男経済産業相は24日、BS朝日の番組の収録で、原発の停止分を火力発電で代替する際の燃料費増加に伴い、電気料金が今後「1%とか2%でなく、5%とか10%とか15%というレベルで上がる」と述べ、大幅な値上げは避けられないとの見通しを示した。枝野経産相が具体的な数値を示して大幅値上げが不可避であることを認めたのは初めて。
枝野経産相は「原発を使わず、その分火力をやれば、コストはものすごくかかるので電気料金は大きく上がる」と強調。原発を使わない場合、電気料金の大幅な値上げは「必然的だ」と述べた。
また、原発の再稼働問題については、需給逼迫(ひっぱく)を理由に安全性が未確認の原発を再稼働させることはないとした上で、「安全が確認でき、地元の理解が得られたら、今の電力の需給状況では稼働させていただく必要がある」と発言。安全性の確認と地元の理解を前提に再稼働は必要との考えを示した。
枝野経産相はこれまで、電気料金値上げには一貫して慎重姿勢を示してきた。東京電力が1月に企業向け電気料金の値上げを発表した際、経産相の認可が必要な家庭向けの値上げについては、東電の徹底したリストラなどを念頭に「そうした検討が行われた後、議論の俎上(そじょう)に載るべき話」と述べていた。
ただ、原発再稼働が見通せない中、電力各社で燃料費が膨らんでおり、人件費などを抑制しても「原価に占める割合が大きい燃料費分の削減はとても無理」(政府関係者)と判断したと見られる。【野原大輔、和田憲二】
毎日新聞 2012年2月25日 東京朝刊
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