Jフロント:パルコの筆頭株主に、株式33%取得-TOBの計画なし(2
2月24日(ブルームバーグ):大丸と松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングは森トラストが所有するパルコ株を取得し筆頭株主となる。取得額は約300億円。百貨店ビジネスが伸び悩む中、パルコを取り込むことで顧客層の拡大を目指す。
Jフロントが東証で開示した資料によると「パルコとの連携を深めることで百貨店ビジネスモデルの変革を加速するとともに、さまざまな業種、業態を展開する小売グループとして成長力の向上を図る」としている。
Jフロントは24日、森トラストと株式譲渡契約を結び3月下旬の譲渡を計画している。森トラストが所有する33.2%の株式を1株1100円、計301億4000万円で獲得する。株式公開買い付け(TOB)などさらなる株式の取得は計画していないとしている。
パルコをめぐっては昨年2月、国内スーパーマーケット最大手のイオンがパルコ株12%を取得し森トラストに次ぐ株主になっていた。中期計画で大都市強化を打ち出したイオンは、ショッピングモールなどの顧客層を広げることができると考え、昨年夏以降、パルコと提携協議を続けていた。
また昨年には森トラストとイオンがともにパルコの経営陣の刷新を要求し、パルコの社長がこれを受けて交代した経緯がある。筆頭株主が森トラストからJフロントに入れ替わることで、パルコの経営に変化が出てくるのかどうか、またイオンの対応も注目される。
3社の方針
イオンの津末浩治報道統括マネージャーは、ブルームバーグ・ニュースの電話取材でJフロントの株式取得について「パルコからは何も話は聞いていない」とし、パルコ株は「持ち続ける方針」と述べた。
一方、Jフロント広報担当の五味ゆかり氏は、「イオンとは大株主としてパルコの企業価値向上のため話し合う」と述べた。イオンと業務上の関係を構築するかどうかについては「何も決まっていない」と話した。またパルコ広報の越路明広氏は、提携策を話し合う業務提携検討委員会を「イオンとも続けていく方針」とし、Jフロント、イオン双方と協業できるように「協議していく」と述べた。
ジャパンインベストの大和樹彦副調査部長は、「パルコにとっては顧客層が近いJフロントの方がイオンよりもシナジー効果が大きいのではないか」と述べた。
森トラストの吉田武副社長は、Jフロントから購入の申し入れがあり売却することになったとし、「国内流通業界の再編に資すると思う」と述べた。
格付投資情報センター(R&I)は24日付けリポートでJフロントのパルコ株取得について、新たなビジネスモデル構築という経営戦略に沿った株式取得だとし、「相応の財務負担はあるものの格付けを変える必要はない」とコメントした。Jフロントの発行体格付は「A-」となっている。
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更新日時: 2012/02/24 18:50 JST