東日本大震災の被災地で足りない物を、行政を介さずに直接被災地に送る「ふんばろう東日本支援プロジェクト」が広がりを見せている。ネットを通じて物資の支援を呼びかけ、現地の受け入れ担当者へ送ってもらう。同プロジェクト代表で早稲田大大学院講師の西條剛央さん(36)は「現地の前方支援と全国の後方支援を連携させ、必要なところに必要な分だけ無料で届ける画期的なシステム」と話す。
西條さんは4月上旬、知人とともに津波で壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町を訪ねた。大人には酒や女性用の化粧水など生活の質を高めるもの、子どもにはおもちゃや雑貨などが喜ばれた。一方、物資が大きな避難所で余っているのに、小さな避難所まで行き渡っていない現実を目の当たりにしたという。
その時、南三陸町で被災した鮮魚店経営、三浦保志さん(56)と出会い、現地の窓口になってもらってプロジェクトが始まった。支援は(1)町内の避難所を回る三浦さんから「今、何がどれくらい必要か」というニーズを聞く(2)西條さんがブログやツイッターを通じてその物資の支援を呼びかけ、応じた人から直接宅配便で三浦さんのもとに送ってもらう(3)三浦さんやボランティアらが、トラックで町内を回り、配る--という流れ。
現在、お菓子やサンダル、生理用品など不足がちだったものが多種多様に届く。三浦さんは、「感謝の一言。町民が自立した生活ができる基盤としていきたい」と語った。
同町だけでなく、石巻市や岩手県陸前高田市など、津波の被害が大きかった地域へ支援の輪は広がっている。西條さんは「何か役に立ちたいがどうしたらいいかわからない、と思っている人も多い。そういう人にはこのシステムを活用してほしいし、今後は行政や企業への働きかけもしていきたい」と話した。
同プロジェクトのホームページは(http://fumbaro.org/)。【後藤豪】
毎日新聞 2011年4月16日 19時51分(最終更新 4月17日 11時10分)
岩手県・宮城県に残る災害廃棄物の現状とそこで暮らす人々のいまを伝える写真展を開催中。