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(20時間24分前に更新) |
那覇市の首里城公園近くにある第32軍司令部壕(旧日本陸軍守備隊)の説明板の設置を進めている県が、壕内の様子を紹介する説明文から「慰安婦」「日本軍による住民虐殺」の文言を削除したことが23日、分かった。文案をまとめた有識者でつくる同壕説明板設置検討委員会(委員長・池田榮史琉大教授)は同日、県に削除した文言の復活を求める意見書を送付した。県環境生活部は削除理由を「二つの史実について県は確証が持てない」ためとした。「慰安婦はいなかっただろう」とする証言記録が1件あること、住民虐殺は「証言内容の場所が特定できない」ことなどを記述削除の根拠としている。
同検討委員会の池田委員長は「慰安婦や住民虐殺の記述を『行政の責任で抜きました』と県は説明したが、そのプロセスが理解できない。2回の委員会で県側から異論はなかった。県として沖縄戦をどう伝えるのかに関わる問題だ。記述削除の撤回を求め、県と話し合いを続けていきたい」とコメントした。
県は昨年から2回にわたり第32軍司令部壕を平和教育・学習の場として活用するための説明板を設置する目的で検討委員会を開催。委員会は同年11月に壕内部の様子などを説明する文案で「(壕内に)1000人余の将兵や県出身の軍属・学徒、女性軍属・慰安婦などが雑居」「壕周辺では、日本軍に『スパイ視』された沖縄住民の虐殺などもおこりました」と明記した。
県平和・男女共同参画課は、この文案に対して県内外から「事実と違う」「証言は捏造(ねつぞう)だ」などのメールや電話、ファクスなどの抗議・意見82件が寄せられたため、部内で再度文案を検討。県平和祈念資料館所蔵の映像証言記録に、当時壕にいた男性の「韓国女性はいたが、慰安婦とは関係ないでしょうね」とする証言などを確認したとし、同課は「県として片方だけの意見を盛り込むことはできず、削除することを決めた」と説明した。
環境生活部は1月に仲井真弘多知事に内容を報告、同20日に部長決裁した。下地寛部長は「説明板設置は壕があった事実とつくられた経緯や役割、影響などを広く知らせるのが目的。さまざまな証言があり、県として事実の確証が持てないため削除した」と述べ、文言を復活する考えはないとした。
県は説明板の発注も済ませており、3月中にも設置する予定。説明板設置事業の予算は約215万円。
知事「知らない 確認する」
仲井真弘多知事は23日、第32軍司令部壕に設置予定の説明板の記述が変更されたことについて「知らない。確認させてほしい」と述べた。その上で「委員会でちゃんとつくった案を部長が独断でそういうこと(記述変更)やれないんじゃないか」との認識を示した。県庁内で沖縄タイムスの取材に答えた。