財団 設立趣意

2011年3月、東日本大震災後の壊滅的な状況を受け、私たちは日本再建に向け、立ち上がりました。

東日本大震災は自然の破壊力の恐ろしさを、まざまざと見せつけるものでした。しかし、今回の壊滅的な危機は、地震や津波による一部の地域のものだけではありません。社会の至るところで見られるひずみや閉塞感は、過去20年に及ぶ日本の衰退の果ての、日本全体の危機であると言えるでしょう。 ところが、日本は、知的にも、政策的にも、政治的にも、敗戦に次ぐ歴史的なゼロ・アワーに佇んでおり、危機打開の糸口を見つけることができずにいます。

私たちが長期的な視野に立って行うべきことは、震災による直接的な被害の立て直しに止まらず、この「失われた20年」の危機の根本的な原因と構造をも合わせてえぐり出し、メスを入れ、そこから教訓を引き出し、新たな復興と再建の道筋をつけることだと考えております。 そのためには、アイデア、戦略、政策、決定プロセス、ネットワーク、コミュニケーション、そしてなによりもリーダーシップの全ての分野において、新たな取り組みと新たな担い手が不可欠です。

また、現代にふさわしい国際化も必要です。従来、政策論議は日本国内に閉ざされていました。その結果、日本は世界の課題設定(アジェンダ・セッティング)から取り残され、国益を損なってきました。加えて、新興国の台頭とグローバル化の進展に駆動される「新世界」が立ち現れる今、このままでは日本の国際的地位のさらなる低下は免れられません。 日本の再建には、世界の知的ネットワーク中枢に参画し、ともに課題設定し、日本の取り組みと経験と物語を発信、共有、提携し、世界に影響力を与えることができる知的インキュベーターが必要になってきます。

一般財団法人日本再建イニシアティブは、シンクタンク機能を中核としつつ、ネットワーク、メディア、クラブの諸機能を併せ持った「シンクタンク複合体」となり、内外の歴史的転換点において、日本の再建を構想し、実現する知的インキュベーターをめざします。