自転車の利用環境整備のため国土交通省と警察庁が設置した有識者会議の第3回会合が22日開かれ、国への提言案が示された。今後の自転車走行空間として自転車レーンなどを車道に整備する一方、これまで多く設けられてきた自転車歩行者道(自歩道=自転車が通行できる幅広歩道)を整備対象から外した。自歩道は自転車が「車両」であるとの意識を薄れさせ、歩行者への危険増加や事故の深刻化を招いていたとされる。提言案は3月30日の会合で決定される。
現在、自転車走行空間として整備されているのは大半が自歩道。両省庁が07年に示した「自転車利用環境整備ガイドブック」も自転車レーンなどとともに自歩道の整備を盛り込んでいた。
提言案によると、目標を設定した自転車ネットワーク計画をつくり、通学に使われる道路や事故が多い道路などを選んで走行空間の整備を進める。整備では車の制限速度と交通量に応じ(1)速度が高い場合は、車道や歩道と完全に区切った「自転車道」を整備(2)速度が低く交通量も少ない場合は車道左端を走行(3)それ以外は車道左端を線で区切ってカラー舗装するなどした自転車レーンを整備--との基準を示した。車道を車と混在して走らせる際は、カラー化による通行位置明示やバスレーンの活用を挙げた。
自歩道に関しては、自転車道が本来必要なのに整備が難しい道路で、自転車の交通量が少なく歩行者との分離が必要でない場合に限って、既に整備されているものを当面の措置として活用するとだけ記載した。
また、交差点では自転車レーンや自転車道が途切れたり、横断歩道のそばに誘導したりしないよう連続的、直線的に整備することを基本とした。【馬場直子、北村和巳】
毎日新聞 2012年2月23日 東京朝刊
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