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きょうのコラム「時鐘」 2012年2月24日
福島原発事故(ふくしまげんぱつじこ)での米原子力規制委(べいげんしりょくきせいい)(NRC)の対応(たいおう)が公表され、日本側との違(ちが)いが浮(う)き彫(ぼ)りになった
ポイントは退避範囲(たいひはんい)を約80キロとした点にあろう。半径(はんけい)20キロから30キロ圏(けん)に拡大した日本側とはかけ離(はな)れている。距離(きょり)の差(さ)も問題だが、米側が風向(かぜむ)きを前提(ぜんてい)にしてこの退避距離をはじき出している点が、大事ではなかろうか 米国は原発先進国であり軍事大国(ぐんじたいこく)でもある。核攻撃(かくこうげき)を受けた場合には直(ただ)ちに気象状況(きしょうじょうきょう)を調べ、風下(かざしも)の地域にどれだけ核物質(かくぶっしつ)が降(ふ)るかを調べるのも米軍(べいぐん)の重要(じゅうよう)な仕事だという。緊急時(きんきゅうじ)、単純に同心円(どうしんえん)を描いて対応するのは不合理だからだ 福島の事故でも放射線(ほうしゃせん)は円形状(えんけいじょう)に均等(きんとう)に広がらず、風によって一直線に拡散(かくさん)した。NRCは原発事故の規模(きぼ)と当日の風向(ふうこう)からも退避距離を出している。日本も放射能影響予測システム「スピーディー」を持ちながら公表しなかったのは残念でならない 志賀原発(しかげんぱつ)では30キロ圏内(けんない)が石川・富山にまたがり避難(ひなん)や様々(さまざま)な対応の必要な区域になっている。季節風(きせつふう)の強い半島だ。風向きはどこまで考慮(こうりょ)され測定能力(そくていのうりょく)はあるのか、知りたいところである。 |