福島大学の出願最終日午前10時現在の志願者数は3257人で、この時点の昨年同期比では21%増えた。原発事故の影響による減少も心配されていただけに、関係者は胸をなで下ろしている。
学類別には、微減となった人間発達文化学類を除く3学類で志願者が増加。特に行政政策学類の後期は昨年の7.3倍が10.1倍に、経済経営学類の後期は同6.0倍から9.4倍に、共生システム理工学類の前期は同2.1倍から2.9倍に増えた。
福島大によると、福島県外からの志願者数はわずかに減ったものの、県内からの人数が大幅に増えたという。
予備校などの事前予測では志願者が減少するとの見方もあったため、同大は構内除染や線量データの公開に力を入れ、副学長5人が昨年秋に東北から関東にかけての130の高校を回って安全性をアピールしたほか、全受験生の検定料を無料にする措置を取った。先月からは、学生20人の外部被曝(ひばく)量測定結果をホームページで公開している。
入戸野(にっとの)修学長は「心配された減少はなくホッとした。除染を進め、情報を公開してきたことも功を奏した。福島の厳しい状況の中でも、学生たちが震災にかかわる理論と実践を学び、地域復興に貢献したいと考えてくれたのだと思う」と話した。
県立医科大学医学部の志願者数も増えたが、定員増もあり倍率は前後期ともほぼ昨年並み。看護学部は志願者数、倍率とも減った。
会津大学は志願者数が441人と昨年より3割減った。学生課は「減った分はすべて県外からの志願者。原発事故後の放射線量の安全性や大学のよさを広報してきたが残念だ」としている。(渡辺康人)