報道特集スペシャル「百人百熱」 韓国・盧武鉉大統領 本音で直接対話 韓国の盧武鉉大統領と市民の対話を読む
日韓で取り組むべき問題

「アジアの平和のために(2)」

田丸 大統領ご自身、そういうふうに前向きなお気持ちで過去のことをお考えであるというところに恐縮なんですが、やはり一度過去の清算問題というのも、日韓両方の調査がありますので、触れておきたいと思います、

先ほど取り組むべき課題として韓国側が一番多かったのが、「過去の清算」という事でした。「日本と韓国の間で過去の諸問題は清算されたと思いますか?」という質問を改めてさせてもらいました。ごらんのように日本です、日本では30%の人が過去の問題は清算された、と答えましたが、64%の人は清算されたとは思わない、と答えています。一方韓国なんですが、清算されたと答えた人はわずが8%です。90%近くの人が未だ清算はされていないという厳しい見方をやはりなさってるんですね。

筑紫 まあ、それに対するむしろお答えを、先に大統領はなさったと思いますね、つまり、今回の訪日の時も、その未来のほうに考えていこうと。未来の問題のほうになるだけ移していこうということでやってきたわけですけども。

田丸 今も今回の訪日では、改めて教科書問題に触れないでおきました、とおっしゃいました。もちろん靖国問題にも触れないでいらっしゃいましたね。ただ、FAXでいただきましたこういった質問もありますので、お答えいただければと思います。これはですね、31才の男性の会社員、ノノヤマさんという方です。「日本の総理が靖国神社に参拝にいくことをどう思っていますか。個人的に思っていることと、大統領として思っていることを聞かせてください」

盧大統領 私が就任式を控えて、小泉首相を招請しようとしました。しかしその時に小泉首相が靖国神社を参拝しました。それでこの招請を取り消すかどうかにおいて、非常に苦心しました。この神社を参拝した理由はそれなりにあると思いますが、しかし、その時に私が招請を取り消してしまえば、韓日関係はまた厳しくなってしまいます。その時我々は韓国と日本の間で、北朝鮮の問題の解決のために歩調をあわせなければならない、といった重要な問題が横たわっておりましたが、その問題によって訪韓招請を取り消したりして、両首脳同士で感情的な対立ができるということになれば、この重要な問題をこれからどう解決していくのか、といった現実的な問題が生じました。そして今回私が訪日して北朝鮮問題に対して緊密に協議しなければならないとともに、意気投合して信頼しなければなりませんが、過去の話を言い続ければ何も役立たないでしょう。

だからといって私が過去の問題は全て埋め尽くしてしまいましょう、というものでもありません。大統領がこれで過去の問題は終了したと言うからといって、そして事実上その問題が終了できる状況が生じた上で大統領がそれを終わったとか終わらないとかいう事で解決できることではありません。それは言葉を通じてそれに対してやはり議論を投げかける問題ではなく、それを克服できる共通のプログラムをつくっていこう、共同の努力を傾けていこう、ということです。

まだ多くの人々が解決されていないと思っていますが、それは彼らの自分たちの道徳的な判断、基準によって決めたものですが、大統領が来て日本で過去の歴史が清算されていないので大統領が解決してください、といっています。しかしながら、韓国の大統領が日本に来て、過去の歴史を話しをすることは、少し気分が悪いという可能性があります。全てを取り出して感情的な対立へと追い込めていくことが、韓国と日本の未来のために、われわれの子供たちのために望ましい方向なのか、と思います。そして、それを賢明に解決する方向で解決していこうというものです。

過去の歴史に対する質問をくださいましたが、答えは私の心の中にしまっておきます。これからは、この問題に対する答えは日本国民のみなさまが自ら出してください、そして、韓国国民も再びそのような不幸なことを繰り返すことのないように、心の覚悟とそして韓日関係をつくっていく準備をしていきます。

田丸 では、会場のほうは、もうよろしいですか。ではここでせっかく大統領もそうおっしゃっていますので、過去の問題から未来のほうに移してまいりましょうか。

筑紫 韓国と日本の未来の話を伺いたいのですが、その前に一つだけ、日本人が非常に関心を持っているのは北朝鮮の拉致問題です。それに対する質問がいっぱい来ていますが、拉致問題を解決することを前提として北朝鮮と交渉しようと日本はしていますけども、これについては大統領はどう思われますか。 

盧大統領 拉致問題は、反人道的、反人権的な犯罪行為であります。また、国家間の問題として見れば主権の侵害行為でもあります。何よりも中心にならなければいけないのは、人間の尊厳を害するものであるということです。破壊するものであるということです。

これは、その真相を明らかにしなければなりません。また、謝罪をしなければいけません。また、できる限り原状にまで回復させなくてはいけません。この問題につきましては、日本の国民の方々のお気持ちはよくわかり、また理解できます。しかしながら政治の現実というのは、こういったような問題の解決においても交渉を通じて、解決をしなければいけないものであるので、私は先般の小泉首相のピョンヤン訪問、北朝鮮訪問の際のピョンヤン宣言の基本精紳をもって、誠実な形で約束を実行していくのが、そのひとつの方法であると思います。しかし、すべてのことというのが、その約束通りいかない面もありますので、そういった面で、日本の国民の方々は小泉首相、政治的な指導者の方々がこの問題を解決していく過程におきまして、より多くの融通性をもって、また、裁量をもって、問題を解決して下さるよう信頼し、また、委任して下さることをお願いしたいと思います。そういった必要があるかと思います。