尿酸が血液に溶ける限度は約7.0mg/dLで、それ以上の濃度では溶けきれない尿酸が結晶となります。年齢・性別を問わず血清尿酸値がこれを超えるものを高尿酸血症と呼びます。高尿酸血症を数年放置しておくと、尿酸の結晶が関節などに蓄積して激痛をもたらす痛風になります。
高尿酸血症は尿酸の生成と排泄のバランスによって、次の3つの病型に分類されます。
1.腎臓からの尿酸の排泄が悪い尿酸排泄低下型
2.尿酸が過剰に作られる尿酸産生過剰型
3.両者の混在した混合型
排泄低下型と産生過剰型に鑑別することは成因を調べ、尿酸降下薬を選択する上で重要です。
血清尿酸値は摂取した食事・飲酒により変動するため、少なくとも3日間はプリン体の多い食事や飲酒を制限し、24時間蓄尿と血液検査を行って1日尿中尿酸排泄量、尿酸クリアランス、クレアチニンクリアランスを計算して鑑別します(表)。
しかし、蓄尿や食事の制限を行わなくてはならず、外来診療では困難を伴います。
そこで一般的に試験当日早朝より絶食した後、飲水負荷し、60分間採尿で行います。
さらに、これも困難な場合や急を要するときは、随時尿の尿中尿酸値と尿中クレアチニン値の比を計算して大まかな鑑別ができます。
ただし、これらの検査は利尿剤や消炎鎮痛剤などの尿酸代謝に影響のある薬剤を服用している場合は2週間程休薬して実施します。
※プリン体を多く含む食品:煮干、かつおぶし、レバー、肉類、アルコール(特にビール)など
表.高尿酸血症の病型分類 |
検査項目 |
基準値 |
排泄低下型 |
産生過剰型 |
尿中尿酸排泄量(mg/kg/h) |
0.48〜0.51 |
0.47以下 |
0.52以上 |
尿酸クリアランス(mL/min) |
6.2〜12.6 |
6.1以下 |
6.2以上 |
尿酸クリアランス/クレアチニンクリアランス比(%) |
5.5〜11.1 |
5.4以下 |
− |
尿中尿酸/クレアチニン比 |
− |
0.4以下 |
0.8以上 |
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〔参考〕
津谷 寛;日本臨床 61(1)、2003
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン2002、日本痛風・核酸代謝学会
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