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「城東地区の多くは荒川が運んできた土が堆積してできていますから、液状化する条件が備わっています。新築のビルなどは地中深くまで基礎を打ってあるので心配はありませんが、基礎の浅い一般住宅では、東日本大震災時の浦安(千葉県)一帯のように、液状化で建物が傾き、住宅としては使いものにならなくなるケースも出てくるでしょう」(渡辺氏)
1ページの「液状化危険Map」は、過去に液状化を起こしたことのある地域(グレー)と東日本大震災で液状化を起こした地域(斜線)を示している。沿岸部はもちろんだが、液状化危険地帯は荒川と隅田川沿いに集中していることが分かる。総武線の南側は、火災危険度が比較的低いが、清澄庭園や木場公園といった広域避難場所では液状化が起きる可能性がある。関東学院大学工学部の若松加寿江教授が危険性についてこう話す。
「過去に液状化が起きた場所であれば、荒川沿い、隅田川沿い、江戸川沿いなど、どこで液状化現象が起きてもおかしくはありません。液状化によって、道路が陥没したり亀裂が走ったりすれば、救助活動や物資の運搬が困難になります。もし地割れに落ちてしまうと、死んでしまう場合すらあります。'64年の新潟地震では山形県の中学生が、避難する途中に目の前で起きた液状化による地割れに落下して命を落とすという悲劇が起こりました。地中深くで液状化が起こると、地表部分が落ちて蟻地獄のような状態になるので、落ちてしまうと脱出は困難です」
避難している最中には、頭上だけでなく、足元にも十分注意しなくてはならない。また、液状化によって橋が歪んだり、崩れる可能性もある。運河に囲まれている豊洲や潮見、辰巳のような場所は孤島となり、逃げ場を失った住民が取り残されるケースも考えられるのだ。そのような場合には、無理に川を渡ろうとはせず、安全な場所で救助を待つしかない。
さらに、津波の危険もある。右上の「津波予想Map」は連載1回目でも紹介したものだ。津波が発生すれば、墨田区や江東区で浸水する危険性もある。ラジオは常備しておき、いち早く津波の情報収集を行い、津波の危険の有無を確認した上で、避難場所を選ぶようにしたい。
〝絶対安全〟はない
このように、城東地区では、火災、倒壊、液状化、津波という4つの危険を念頭に避難する必要がある。そう書くと、絶望的な気持ちになるかもしれないが、実は地震における避難とは、そもそもこの4つの危険を回避することに他ならない。前出の渡辺氏は「状況に応じて変わるので、絶対安全と言い切れる避難場所などない」としながらも、「もし津波が来ないことが確認できれば、河川敷に逃げれば火災からは逃れることができるでしょう」と話す。
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