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高齢者の脱水・電解質異常 夏季は、暑さが厳しくなるとともに、高齢者の脱水が問題になる時期でもある。脱水は体内の水分量が不足した状態をいうが、いろいろな原因で生じる。水分不足のみでなく、血液中に含まれるナトリウムやカリウムなどの電解質の異常を伴うことも多く、生命に危険が及ぶことがある。高齢者の健康管理において重要な問題である。 水・電解質代謝異常のなかでも、高齢者に日常的に起こりやすいのは脱水で、舌や皮膚の乾燥、尿量の減少、頻脈の他に、精神活動の低下やせん妄などが現われる場合もある。高齢者は若年者に比べ20%程度体内の水分量が少なく、微細な原因や潜在性の疾患で脱水状態になりやすいので、注意が必要である。 脱水の原因 水分喪失量に比較して水分摂取量が不足することによって生じる。脱水の原因としては、水分の摂取が不足する状態、または水分の喪失が過剰となる状態の二つがある。実際には、水分の摂取が不足すると同時に喪失も亢進することが稀ではない。 1.発熱 発熱により全身倦怠感が強くなると、水分の摂取が減少する。一方、発汗の亢進や呼吸数の増加により、意識されない水分の排泄(不感蒸泄)が亢進し、脱水となる。 2.下痢・嘔吐 ウイルス性の腸炎、食中毒、コレラなど、急性消化器疾患の症状としてしばしば同時にみられる。嘔吐により水分の摂取が低下するとともに、下痢により水分の喪失が増加する。下痢・嘔吐はいずれも電解質を喪失する症状であるため、水分だけでなく電解質も減少する。 3.高温の環境、重作業、激しい運動 暑いところで体を動かすと、発汗が亢進する。十分な水分および電解質の摂取がなければ脱水の原因となる。これらの要因が重なり合って起こる重篤な疾患は熱射病であり、脱水は熱射病の主要な病態である。 脱水の分類 1. 高張性脱水 発汗の亢進、水分摂取の極端な低下などにより、水分が不足した状態である。 発熱と著しい口渇感を伴い、口腔などの粘膜が乾燥する。意識は保たれるが不隠・興奮の状態となる。手足は冷たくならず、脈拍もしっかりと触れる。 血清ナトリウム濃度150mEq/l以上、血清クロール濃度110mEq/l以上が目安となる。 2. 等張性脱水 等張液の喪失による脱水。 3. 低張性脱水 下痢・嘔吐などにより、水分の喪失以上に電解質の喪失が著しい状態。血漿中の電解質濃度および血漿浸透圧の低下を伴う。 発熱や口渇感を伴いにくく、皮膚・粘膜の乾燥も少ない。全身倦怠感や眠気がみられ、手足は冷たく脈拍が弱くなる。主に細胞外液(循環血液量)の減少による症状である。 血清ナトリウム濃度140mEq/l以下、血清クロール濃度110mEq/l以下が目安となる。 脱水の診断 臨床所見 1)皮膚ツルゴールの低下、2)口腔粘膜の乾燥、3)起立性低血圧など。 尿中Na濃度を測定することによりさらに細かい鑑別が出来る。脱水があり、尿中Na濃度が低い場合は、Na摂取不足、下痢、嘔吐、火傷などによる腎外性のNa漏出が考えられる。 脱水があり、尿中Na濃度が低値でない場合は、利尿薬の多用、ミネラルコルチコイド欠乏、Na喪失性腎炎などの可能性がある。 脱水の一般的対応 軽症で、経口摂取が可能な状態であれば、電解質を含んだ水分(薄い食塩を経口で摂取させる。経口補液用の食品もある。脱水が高度の場合、全身状態が悪くて経口摂取ができない場合、電解質異常が著しくて厳密なコントロールが必要な場合などには輸液を行う。しかしながら、高度の脱水や電解質異常が見られる場合に、急激に補正を行うと脳浮腫、心不全、肺水腫、中枢神経合併症が生じる危険があるために、2~3日をかけて補正する必要がある。 血清ナトリウム異常症 Na代謝異常は、一般診療でも頻繁に遭遇する電解質異常です。血清Na値の異常に対しては、単にNaの投与量を調節するだけでなく、その病態を正確に判断して適切に対処する必要がある。また、患者に意識障害があるなど輸液による補正が必要な場合は、低Na血症と高Na血症のいずれも、補正速度には十分な注意を払わねばならない。 1.高Na血症の診断 血清Na濃度が146mEq/L以上を高Na血症(高ナトリウム血症)という。頻度は少ないが、意識障害で入院中の患者などでしばしば認められる。体内Na量が細胞外液量に比べ、相対的に過剰の時に生じる。 脱水症は重篤な高Na血症を起こし、160mEq/Lを超えると意識障害、痙攣などの中枢神経症状が出現する可能性がある。通常、飲水量の増大により脱水は是正されるが、高Na血症になるのは、口渇中枢の障害、意識障害、麻痺など何らかの原因で飲水が出来ない状況で起こる。 尿崩症のように多尿を起す場合でも、口渇中枢が働いていて相応の飲水があれば、著しい高Na血症にはならないが、尿崩症の原因が視床下部の腫瘍性病変による場合、しばしば口渇中枢も障害されていて、飲水不足から著明な高Na血症を起こすことがある。 治療 細胞内から細胞外への水の移行により循環血漿量は比較的保たれていて、臨床的な脱水の所見には乏しいことがある。治療は、水分の補給が基本で、5%ブドウ糖液などの低張輸液が使われる。循環血漿量の減少が著明な場合には、まず生理食塩水を投与して循環状態を改善する必要がある。 目安は、下記の予測式により、5%ブドウ糖液1Lの投与により、血清Na濃度の約5mEq/Lの低下がみこまれるので、1mEq/L/hrで補正したい場合は、200mL/hr程度で投与すればよい。血清Na値を急激に低下させると、脳浮腫を起す危険性があるので、補正速度は1~2mEq/L/hr以下および12mEq/L/day以下にとどめておくように注意する。 輸液による血清Na濃度変化の予測式 輸液1Lの投与による血清Na濃度の変化= [(輸液中のNa+K濃度)-血清Na濃度]÷[体内総水分量+1] 体内総水分量=体重(kg)×0.6 例):血清Na濃度160mEq/L、体重50kgの人に5%ブドウ糖液(輸液中のNa+K濃度=0)を投与した場合: [0-160]÷[50×0.6+1]=-5.2mEq/L この結果、5%ブドウ糖液1Lの投与で血清Na濃度は5.2mEq/L低下する、即ち、5%ブドウ糖液192mLの投与で1mEq/Lの血清Na濃度の低下が予測される。この予測式は、高張食塩水の投与による低Na血症の補正の際にも使用できる。 2.低ナトリウム血症(低Na血症)の診断 血清Na濃度が135mgEq/L未満を低Na血症(低ナトリウム血症)。低Na血症は脳浮腫の原因となる。低下速度にもよるが、一般に血清Na濃度が125mEq/L以下になると、頭痛、吐き気などの神経症状が出現し、さらに進行すると痙攣、昏睡などに至る。低Na血症とは、体内Na量が細胞外液量に対して相対的に少ない状態である。従って、低Na血症の診断では、細胞外液量が多いのか少ないのか、即ち脱水があるのか浮腫があるのかを評価することが大切である。 2) 浮腫を伴う低Na血症の原因 、 腎不全、心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群などが考えられる。 低Na血症の治療 脱水を伴う低Na血症、すなわち腎性あるいは腎外性のNa喪失による低張性脱水の場合は、水分とNaを補うのが基本で、通常生理食塩水が投与される。 心不全、肝不全などの浮腫性疾患では、原疾患の治療が主となる。 3) 脱水も浮腫もない低Na血症 診断が困難なことが多い。 その代表疾患は不適切抗利尿ホルモン分泌症候群(SIADH)である。SIADHの診断基準は、低浸透圧性低Na血症が存在し、低Na血症の存在にもかかわらず、尿中Na排泄の増加がみられること、脱水症状がないこと、腎機能・副腎機能が正常であることである。 血漿抗利尿ホルモン(AVP)濃度を評価する時には、血清Naとの相互関係で判断する必要があり、AVP が一見正常範囲でも血清Naが低値の場合は、相対的分泌過剰状態とみなす。 血清尿酸値の低下は、水貯留を示す所見として有用である。 SIADHの病因1) 異所性AVP産生腫瘍(肺小細胞癌)、2)中枢神経系疾患、3)肺疾患、4)薬剤性(抗癌剤、抗うつ剤など)など。肺炎と髄膜炎などの感染症に伴うものが多い、炎症性サイトカインによりAVPの分泌が刺激されるためにSIADHを生ずると考えられる。 SIADHの診断基準 1) 脱水所見を認めない(血漿レニン活性<5ng/mL/hr、血清 尿酸値<5mg/dL) 2) 低Na血症 : 血清Na<135mEq/L 3) 低浸透圧血症 : 血漿浸透圧<270mOsm/kg 4) 低張尿を認めない : 尿浸透圧>血漿浸透圧 5) Na利尿の持続 : 尿中Na濃度>20mEq/L 6) 腎機能正常 : 血清Cr(クレアチニン) < 1.2mg/dL 7) 副腎皮質機能正常 : 血清コルチゾール>6μg/dL 8) 血漿AVP濃度上昇 : ただし血清Naとの相関で評価することが必要 9) 水分制限により低Na血症が改善する SIADHの治療 下記に示すように、水制限が基本である。このためAVPの抗利尿作用を減弱させる作用を持つデメクロサイクリン(レダマイシン)を使用することもある。意識障害を伴う低Na血症の場合は、脳浮腫による脳障害を防ぐため、高張食塩水を投与して血清Naを補正する必要があるが、補正が早すぎると脳に不可逆的な脱髄を生じ(橋(きょう)中心髄鞘崩壊: Central pontine myelinolysis)、致命的あるいは重篤な後遺症を残すことになるので、補正速度には十分な配慮が必要である。 意識障害を伴わない場合 ・水制限: 食事中の水分を含めて15~20mL/kg/day ・フロセミド(利尿薬)+食塩摂取制限(1日10g) ・デメクロサイクリン(商品名レダマイシン)600~1200mg/day 意識障害を伴う場合 ・高張食塩水(2.5~3%NaCl)投与 補正速度を0.5~1mEq/L/hr未満で10mEq/L/day未満に保つ。 症状の軽快、あるいは125mEq/Lを到達目標にする。 ・3%NaCl の投与量の目安 補正速度(mEq/L/hr)×体重(kg)=投与量(mL/hr) by yamatokai-ginnka | 2007-08-13 11:49 | 医療の問題
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