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生活保護受給者 就労支援不十分

2月24日 19時33分

生活保護受給者 就労支援不十分
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生活保護の受給者を支援している団体が、働く世代の受給者にアンケートをしたところ、ハローワークの就職相談を受けている人が半数にとどまるなど、十分な就労支援が行われていない実態が明らかになりました。

このアンケートは、生活保護の受給者を支援している弁護士などで作る団体が、去年9月までの3か月間、全国で実施したもので、19歳から65歳までの働く世代、およそ900人から回答を得ました。
それによりますと、仕事を探している人のうち、ハローワークで相談を受けていると答えたのは全体の49%と半数以下にとどまったほか、職業訓練を受けている人は僅か6%でした。
また、どんな支援を求めているか聞いたところ、「親身になって相談に応じてくれる」が68%、「資格が取れるような支援」が29%などとなっていました。
このほかアンケートでは、行政の窓口で就職の相談をしても、「頑張って仕事を探してと言われるだけだった」といった意見が多く寄せられたということで、支援団体では、今後、国や自治体に対して、生活保護の受給者が確実に就職できるよう、実効性のある支援を行うよう求めていくことにしています。
今回のアンケート結果を分析した、北星学園大学の木下武徳准教授は、「受給者が就職をあきらめたり、行政側のアプローチが足りなかったりして、支援が十分に行き届かない状況になっている。一度生活保護を受給すると、再就職へのハードルは高いので、行政側から積極的に声を掛けて、支援を行っていく必要がある」と話しています。

増え続ける生活保護受給者

厳しい雇用情勢や高齢化によって、生活保護の受給者は増え続け、去年11月の時点で、全国で207万9000人余りと過去最多となっています。
中でも、働く世代を含む受給世帯が、いわゆるリーマンショック以降急増し、全体の17%を占めています。
厚生労働省は、こうした働く世代の受給を減らそうと、去年12月に生活保護制度を見直す方針を示しています。
それによりますと、生活保護を受給しても早期に脱却できるよう、自治体に対して、期限を区切って集中的な支援を行うよう、計画の策定を求めるほか、ハローワークの職員が、自治体の福祉事務所を定期的に巡回し、受給者の就職支援を進めるとしています。
さらに、働くことができる受給者が職業訓練を受講しない場合には、生活保護の支給を打ち切ることも検討するとしています。
厚生労働省は、今後、仕事を失った人への生活支援や、住宅の確保など、働く世代が生活保護の受給に至らないための支援策をことしの秋までに検討することにしています。