ここから本文エリア 現在位置:asahi.com> マイタウン> 和歌山> 記事 朝から練習、夜中まで接客…プロ野球目指すバーテンダー2011年5月13日
和歌山県立箕島高校野球部OBで、名古屋でバーテンダーをしながらプロ野球を目指している強打者がいる。海南市生まれの庄司龍二さん(24)。所属しているのは、名古屋市や東京などで居酒屋を展開する「ジェイプロジェクト」の社会人チームだ。 名古屋市中心部。若い女性に人気の和風居酒屋のカウンターに庄司さんは毎夜、バーテンダーとして立つ。入社して丸2年。今では約200種類のカクテルが作れるが、自分は一滴も酒を飲まない。「野球選手は体が命だから」と言う。 箕島で正捕手を務めたが、3年夏の和歌山大会では3回戦で智弁和歌山に0―3で敗れ、甲子園出場は果たせなかった。 上原浩治投手(米大リーグ・オリオールズ)らが輩出した大阪体育大学(大阪府熊取町)に進んだが、チームには捕手が10人もいた。そのうち3人が甲子園経験者。「甲子園組に負けたくない」と、全体練習の後も校外の練習場に通った。1年の秋から正捕手の座をつかんだ。 翌年6月の全日本大学選手権決勝。青山学院大学との試合で庄司さんは、高市俊投手(現ヤクルト)から2点本塁打を放ち、初優勝に貢献した。この大会で最高殊勲選手に選ばれた1年先輩の村田透投手(現米マイナーリーグ)は、ドラフト会議で巨人から1巡目で指名を受けた。 しかし、この大会後に腰を痛めた庄司さんは3、4年とも思うような活躍ができなかった。卒業の年にプロ志望届を出したが、ドラフトでの指名はなかった。社会人野球に進んだ。 「スカウトにアピールするためには出場機会の多いところがいい」と選んだのが、新設チームのジェイプロジェクトだった。 朝9時から午後2時半まで練習後、シャワーを浴びて店に直行。午後5時から11時まではずっと立ちっぱなしだ。酔った客に絡まれた夜は辞めたくなった。そんなときは「自分の野球を応援してくれている親や高校の先生の顔が浮かんだ」。仕事が終わった後にも素振りを欠かさない。 昨年の都市対抗野球大会では東海地区2次予選に進出し、自ら本塁打も放った。10月のドラフト会議では指名されなかったが、ある球団からは指名に前向きな話もあり、スカウトからは「来年もしっかり見させてもらう」と言われた。 「1%でも可能性があるなら必死こいてやるだけ」と今シーズンもプロ入りの夢を追う。(山野拓郎)
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