(cache) 東日本大震災 - 一般社団法人共同通信社ニュース特集

東日本大震災（ニュース特集）

　仙台市は３０日、東日本大震災の影響で廃業し、解体中だった市内のホテル付近の大気中から、世界保健機関（ＷＨＯ）が定める基準値の最大３６倍のアスベスト（石綿）を検出したと発表した。

　市は同日までに、解体業者の東洋環境開発（仙台市青葉区）に作業の一時停止命令を出した。同社はシートで作業現場を囲うなど、飛散防止に必要な措置を取っておらず、市は行政処分も検討する。

　環境省によると、アスベストの検査には通常、光学顕微鏡を用いるが、仙台市はより細かい繊維まで見える電子顕微鏡を使用。環境省の担当者は「敷地境界では通常、考えられない量」としている。

　市によると、アスベストはじん肺や悪性中皮腫の原因になるとされ、肺がんを起こす可能性が指摘されている。市は周辺住民の健康被害への相談について、市内５区の保健福祉センターで対応する方針。

　ＷＨＯの基準では、都市の大気１リットル当たりのアスベスト濃度の限界は繊維１０本程度。ホテルは老朽化に加え、震災の影響などで廃業を決定。１０月２０日ごろから解体作業が進められていた。

　東洋環境開発の林昭兵社長（６９）は「震災の影響で建物が損壊したため通常の工法が使えず、工法を誤った。近隣住民には大変申し訳ない」と話している。

(2011年11月30日)

　厳しい状況にもかかわらず懸命に生きる被災者の姿を伝える。