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大阪周辺百貨店 テコ入れ急ぐ

2012/2/24 6:37
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 大阪の周辺部にある百貨店が相次いでリストラや売り場の大幅てこ入れに乗り出す。近鉄百貨店は2月末に枚方店(大阪府枚方市)を閉店するほか、3月上旬に桔梗が丘店(三重県名張市)は百貨店としての営業をやめる。ヤマトヤシキの加古川店(兵庫県加古川市)は24日に東急ハンズの期間限定店舗を開業する。大阪百貨店戦争の余波で、顧客を失いつつある周辺部の店舗が対応策を急ぐ。

 29日に閉店する近鉄百貨店枚方店は昨年12月から閉店セールを実施。今週は有名画家の絵画の売り尽くしや、アクセサリーのバーゲンを実施、40代以上の女性を中心に来店客を増やしている。2月は21日までに売上高が前年同月比で2倍、来店客5割増で推移する。

 近鉄百貨店の桔梗が丘店は名称を「近鉄プラザ桔梗が丘」に変える。営業面積を6割減らし、約5500平方メートルに縮小する。2~3階にある婦人服や婦人用品の売り場を2階に集約し、現在ある化粧品や紳士服売り場はなくす。1階は近畿日本鉄道の子会社でスーパー事業の近商ストア(大阪府松原市)が運営する食料品売り場などをつくる。他の階はテナントを誘致して集客力を高める。

 営業面積の縮小に伴い62人の従業員も4割程度に減らす。草津店(滋賀県草津市)の一部に外部テナントを誘致することも検討する。近鉄百貨店は昨年10月に250億円の第三者割当増資を実施するなどで、改装中の阿倍野本店を集中的に強化する方針だ。

 ヤマトヤシキの加古川店が同店4階に開設するのは「東急ハンズトラックマーケット」。売り場面積は234平方メートル。キッチン用品や文具、ギフト小物などハンズの取扱商品を約3000品目集める。定番品のほか買い得感があるアウトレット商品もそろえる。5月31日まで展開する予定だ。東急ハンズの期間限定店舗は近畿では初めて。

 大丸山科店はバレンタインや母の日などの商戦に合わせ、期間限定で地元の菓子店に出店してもらう取り組みを始めた。山陽百貨店(兵庫県姫路市)は購入額1万500円以上で約5%分を顧客に戻す販促策を22日から25日まで会員向けに実施している。1万6800円購入の場合、額面500円の商品券と現金300円が戻る仕組みだ。

 大阪の周辺部にある百貨店は、近隣のショッピングセンターとの競争が激化しているうえ、ネット通販などの影響もあり、売り上げは長期低迷傾向にあった。加えて、大阪市内で昨年にJR大阪三越伊勢丹が新規開業したほか、大丸梅田店や高島屋大阪店が大幅増床。鉄道など交通機関の利便性向上などもあり、大阪都心部に百貨店の顧客が集中するようになった。

 りそな総合研究所の荒木秀之主任研究員は周辺部にある百貨店について「人口減や高齢化も都市部に比べて顕著で、食品特化型へのシフトなど違いを明確にしなければ厳しい」と指摘する。周辺部の百貨店の経営環境は厳しさを増している。


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