メールマガジン労働情報 No.560
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サービス・流通連合と相互雇用斡旋協定を締結へ/UIゼンセン同盟定期大会
繊維や化学、流通、外食サービスなど幅広い産業を組織する民間最大産別のUIゼンセン同盟(落合清四会長、107.1万人)は9、10の両日、都内で定期大会を開き、2010年度活動計画等を決定した。傘下組織で09年度だけでも、倒産、企業・事業所閉鎖、希望退職募集等の合理化が147件、雇用調整助成金による一時休業が457件発生しており、今後は消費の低迷で、百貨店・スーパーなどの流通・小売りでの雇用問題の深刻化が予想されるため、サービス・流通連合(JSD)との相互雇用斡旋協定を締結する方針も明らかにした。
「雇用のためなら、できることは何でもやる」(落合会長)
あいさつした落合会長は、喫緊の課題として雇用問題をとりあげ、「加盟組合には内需型産業と中小企業が多く、年初来毎月にわたり倒産、事業場・店舗の閉鎖、人員削減等の合理化案件が続出している。製造業種でも雇用調整助成金給付の対象が、8月までに延べ42万5,000人に及んでいる」などと指摘。そのうえで、「こうした状況を雇用危機と捉えて緊急の対策本部を設け、その下に縦軸の業種別部会対策、横串の都道府県支部対策を系統立て、臨機応変に体制を作り上げたい」などと述べ、経営再建、雇用斡旋・創出に取り組む政策・制度対策担当を設け、攻めと守りの活動を展開していく考えを表明した。
その一環として、落合会長は「来月、(百貨店やスーパー等の組合で組織する)サービス・流通連合(JSD)と、相互雇用斡旋協定を締結する予定だ。雇用のためなら、できることは何でもやる気構えが大切だ」などと述べ、産別を超えた対応に踏み出す考えも明らかにした。
来春も統一闘争体制で多様な要求のあり方を検討
また、来春の労使交渉に向けた考え方として、落合会長は「このような不況の真っ只中では賃上げは無理と思っている方も多数いるだろうし、客観情勢からみても来春の賃上げ交渉は厳しいだろう。しかし、UIゼンセン同盟は過去、統一賃上げ闘争を回避したことは一度もない。労働組合の原点である要求する姿勢を失ってしまっては、存在意義さえ問われかねない」などと指摘。そのうえで、「来春も統一闘争体制を敷く中で、多様な要求のあり方、組み合わせ方を検討し、合意形成の下に展開していきたい」と述べた。さらに「最近またぞろ、連合は政策・制度要求に徹し、賃金・労働条件闘争は産別自決でとの声が出てきているが、我々はこうした考え方に与しない。連合は先頭に立って旗を振り、自ら要求を組み立てられない多くの未組織・中小労働者にも波及させていく役割がある」と主張した。
昨年同期比で3万 4,447人の純増を達成
大会では、昨年決めた2カ年の運動方針(注)を踏まえ、2010年度の重点的活動計画として、(1) さらなる仲間の拡大(2) 経営対策の充実(事前協議制の堅持、定期的な経営対策会議の開催等)(3) 定期昇給制度の確立(賃金制度教育の実施等)(4) 働き方の見直し(残業は例外的なものとの考え方の確立、労使委員会を設置し生産性向上や諸休暇を考慮した適正要員をめぐり話合い、実労働1,800時間台をめざした諸制度の改善)(5) 国政選挙必勝に向けた政治活動体制の確立――を進めることを決定した。
組織拡大に関しては、単年度5万人増をめざし、「業界全体をターゲットにした戦略的組織化」や「パート労働者の組織化」「新たな潮流の取り込み」など――に注力した結果、昨年同期比で3万4,447人(企業倒産・閉鎖や組合役員退職に伴う運営不能等による解散・脱退が5,233人、自然減が3,680人。一方、新加盟及び企業内組織拡大が4万3,360人)の純増を達成。全体で107万1,315人(正社員組合員54%、同短時間46%)となった経過を報告した。
今期はメガネ業界にフォーカスして取り組み、売上2位のメガネトップ(2,721人)や、4位のメガネの愛眼(1,620人)を組織化(1・3位は既に組織化済み)。チェーンドラッグストア業界同様、売上上位10社の組織化が射程に入ってきた。
また、労働協約改定を通じ、流通部会のイオングループ労連マックスバリュ西日本労組で5,914人、同九州で5,127人、フード・サービス部会のビッグボーイジャパンユニオンで2,146人、サガミチェーン労組で2,343人の大規模拡大が実現するなど、今期新たに仲間入りした約4.3万人のうち、3分の2に当たる約3.2万人(新規加盟の44%、企業内組織拡大の95%)をパート労働者が占めた。
さらに新たな分野では、産経労組を中心とする産経グループ労組連合会(新聞制作、印刷、発行、750人)が加盟した。UIゼンセン同盟では引き続き、「医薬関連や紳士服、フィナンシャル、ホームセンター、娯楽業種中心の組織拡大」「加盟組合の組合員範囲の拡大による企業内組織率の向上」や、「ターゲット地域における支援型ゼネラルユニオンの具体化」に精力的に取り組む構えだ。
(調査・解析部)
9月11日