名古屋グランパスは9日から13日間の別府キャンプを終了し、2日休養のあと24日から愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで練習を再開する。キャンプを訪れた本紙Jリーグコメンテーター、平野孝氏(37)がV奪回のポイントを探った。
昨年のメンバーがほとんど残り、ベースになる戦術も変わらない。別府での練習は、落ち着いて取り組んでいるムードだった。
2年連続優勝争いしているグランパスにプラスアルファを生むのは、甲府から移籍したDFダニエルだろう。アジア・チャンピオンズリーグと同時進行する過密日程。主力の高齢化が進んでいることもあり、選手とシステムの起用に柔軟な対応が求められる。ダニエルの加入で、従来の4バックだけでなく、3バックで戦う可能性もある。
福岡大との練習試合では闘莉王、増川、ダニエルの3バック。「3人がそろっていると安心して守れる」と楢崎が話していたように、高くて強い守備が固まれば、攻撃陣も不安なく前に出ることができる。練習試合で見たダニエルには、ポジティブな印象が残った。闘莉王や田中隼とコミュニケーションを取りながら、中盤のダニルソンや磯村がどんなボールの受け方をするのか観察している様子がうかがえた。
昨年までの4−3−3システムに、ストイコビッチ監督はオプションとして3−4−3の導入を意識しているようだった。システム自体に大きな意味はない。大事なのは、近い選手同士でつくるトライアングル。例えばダニエルが4バックの中央でプレーする時と、3バックの右でプレーする時では、周囲との位置関係が変わる。同じように適正な距離と角度で周囲とのトライアングルを保つことがカギになる。
ダニエル、石櫃(前神戸)と実績のある選手を2人獲得したが、2つのビッグタイトルを狙うには、昨年、初先発から3試合連続ゴールを決めた磯村のような若手の出現も欠かせない。新人で可能性を感じたのは、田鍋(三菱養和SC)の突破力。ボランチでプレーした水野(グランパスユース)の、落ち着いたボールさばきも目についた。故障者や出場停止があっても長いシーズンを乗り切るためには15、16人のグループを形成するのが理想的になる。
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