金融庁は、企業年金の運用を行っている東京の投資運用会社が、企業などから預かった2100億円の年金資金について、その大半がなくなっているにもかかわらず、顧客にこうした実態を隠していたとして、業務停止の処分を行う方針を固めました。
問題となっているのは、東京・中央区にある投資運用会社「AIJ投資顧問」です。業界団体が公開している資料によりますと、この投資運用会社は、去年3月末の時点で、国内のおよそ120の企業などから預かった2100億円の年金資金を株価指数に連動する金融商品などで運用しています。しかし、関係者によりますと、預かった年金資産の9割がなくなっているにもかかわらず、顧客に対しては配当を続けるなど運用がうまくいっていたようにみせかけていたということです。
このため、事態を重く見た金融庁は、会社に残っている資産が勝手に引き出されないように、金融商品取引法に基づいて「AIJ投資顧問」に対して、業務停止の処分を行う方針を固めました。金融庁では、証券取引等監視委員会とともに、運用の実態や年金資金の損失の状況などを詳しく調べることにしていますが、顧客の企業年金などへの影響が懸念されます。
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