兵庫県が本庁舎や県立高校など92施設に順次設置してきた太陽光発電をめぐり、整備に総額約34億円を投じたものの、年間に節約できる電気料金は全体で3500万円程度にとどまっていることが14日、分かった。整備費用に対する効果が低いと批判する声もあるが、県は「普及啓発や今夏の節電などで一定の効果はあった」としている。
同日開かれた県議会決算特別委員会で、石井健一郎議員(民主党・県民連合)の質問に県が明らかにした。
県は1993年度以降、本庁舎や高校など県立施設に太陽光発電パネルの整備を開始。2010年度末時点で92施設に整備を終え、国の補助金を合わせて約34億6千万円(うち県負担は約19億6千万円)を費やした。
本庁舎では設置が難しい場所だったため約5億円を要したほか、西播磨総合庁舎(上郡町光都)には、自治体庁舎では全国最大規模とされる年間発電量50万キロワットのパネルを約2億7千万円で整備した。
92施設の年間総発電量は、本庁舎の4カ月分の使用量に相当する310万キロワット。大部分は庁舎内などで消費し、電気料金に換算すると3500万円程度になったという。
多額の費用を投じながら顕著な効果が出ていないとの指摘に対し、県は「太陽光発電の導入初期の普及啓発や学校での環境学習、設備の技術開発に貢献できた」と説明。地球温暖化ガスの排出削減や今夏の電力不足に伴う節電にも効果があったとする。
県は本年度、東日本大震災の影響を受けた緊急の省エネ対策として、約5億6千万円の予算で、さらに県立学校や警察署計40カ所で導入を進めている。(井関 徹)
(2011/10/15 07:17)
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