福島第一原発から25キロ離れた南相馬市で、歩道にたまった黒い物質が異常に高い放射線を出していることがわかった。南相馬市の原町地区などは、原発の事故後、緊急時避難準備区域に指定されていたが、去年秋に指定が解除され、徐々に住民が戻ってきていた。住民の帰還にあたり、学校や通学路を中心に除染が行われてきた。この過程で、水に流されやすい放射性物質は、雨どいや排水口などに集まることがわかった。しかし、今回、見つかった黒い物質は、想定外だった。最初に異常に気がついたのは、南相馬市の大山市議ら市民団体のメンバーだ。市民団体は19日に記者会見を行い、最大で1キログラムあたり約108万ベクレルの高濃度の放射性セシウムを検出したと発表した。この黒い物質について、東北大学の鈴木三男教授は「藍藻類が集まって黒く見える」と話す。藍藻とは、藻の一種で光合成を行い、水分のあるところに発生する。鈴木教授は「藍藻類は成長するにあたって、新しい物質を取り込んでいく。光合成を行うカリウムの代わりにセシウムを取り込んでいくので、高い放射線量が出ている」と話す。現在、空間線量は問題ないが、今後について専門家は「(春になって)藍藻が乾燥し、放射性物質が飛散して、それを体内に取り込むのが心配」と指摘する。