救急医療の正式な再開に向け、大田市が市立病院の救急指定再取得手続きに入る。とはいえ懸案の整形外科医は未確保で、受け入れ態勢は従来のまま。出雲市などへの転院搬送は相変わらず続く。市民にとって具体的な改善点は無く、医師やスタッフの負担だけが増える▲そうまでして「再取得」にこだわる理由について市関係者は「救急指定病院という看板を掲げ続けなければ、外部からの医師派遣の流れがますます鈍る」と打ち明ける。救急医療をしない→重要病院とみなされず医師派遣が後回し→医療態勢がますます細る--の悪循環を恐れているのだ▲島根大「総合医育成センター」誘致で教員を医師の戦力として加える同病院だが「地方からの医師離れ」はまだ解消されていない。医師確保は市の責任としても、日本社会のこの“病理”はいつ誰が正せるのだろうか。【鈴木健太郎】
毎日新聞 2012年2月23日 地方版
岩手県・宮城県に残る災害廃棄物の現状とそこで暮らす人々のいまを伝える写真展を開催中。