男性3人への殺人罪などに問われている木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の第26回公判は22日、さいたま地裁(大熊一之裁判長)で被告人質問があった。木嶋被告は、野田市の安藤建三さん(当時80歳)が死亡した09年5月15日に安藤さん宅に持ち込んだ荷物について、「数種類のおかずが入った保冷バッグ」と説明した。検察側は、荷物が殺害に使われた練炭とコンロだったと主張している。
弁護側は、安藤さん宅の近くにあるスーパー駐車場の防犯カメラの画像を示して、当時の状況を質問。木嶋被告は、車から荷物を取り出す人物を自分と認めたうえで、荷物について「よく覚えている。当時通っていた(料理)学校の保冷バッグ」と答えた。
安藤さんは5月15日に全焼した自宅で遺体で見つかった。木嶋被告は、同日の状況について、畳替えの準備があった安藤さんは疲れている様子で、たばこと灰皿を持って4畳半間に入り、ベッドで横になったと説明した。安藤さんが喫煙したかどうかは「記憶にない」と答えた。弁護側は、たばこ火の不始末による火災で安藤さんが死亡した疑いがあると主張している。
また、木嶋被告は安藤さんに睡眠薬を飲ませたことはないとし、安藤さん宅で練炭やコンロを見たことがないと述べた。
検察側は、木嶋被告が安藤さんに睡眠薬を飲ませて眠らせ、練炭に火を付け、急性一酸化炭素中毒と火災によるやけどで殺害したと主張している。【田口雅士、平川昌範】
毎日新聞 2012年2月23日 地方版
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