※ すべての機能を利用するには、JavaScriptを有効にしてください。

アナゴ産卵の海域 初めて特定

2月23日 18時30分

アナゴ産卵の海域 初めて特定

天ぷらやすしなどの食材として使われるアナゴの産卵場所は、本州から南におよそ2100キロ離れた海域であることが初めて分かりました。
漁獲量の減少が続くアナゴの生態はこれまでほとんど解明されていないことから、専門家は保護の在り方を考える手がかりになるとしています。

ふ化は本州から南約2100キロの海域か

ふ化は本州から南約2100キロの海域か

独立行政法人の水産総合研究センターなどの研究グループは、4年前に日本最南端の沖ノ鳥島の周辺で採取したウナギの仲間のDNAを調べたところ、マアナゴの稚魚26匹が含まれていることが分かったと明らかにしました。
採取したときの大きさは、最も小さなもので5ミリほどで、歯やあごが未発達なことから、ふ化して3日から4日と推定されたということです。
同時に観測した海流の向きや強さなどから、ふ化した場所は本州から南におよそ2100キロの海域にある海底山脈付近で、マアナゴの産卵場所を初めて特定できたとしています。
研究グループはこれまで、ニホンウナギが別の海底山脈付近で産卵することを突き止めていて、海底山脈を目印に産卵するのがウナギの仲間に共通した特徴ではないかとしています。
アナゴは、沖縄や北海道の一部などを除く全国に分布していますが、漁獲量の減少が続き、平成8年に1万2000トンあった水揚げは平成21年には6000トンに半減しています。
一方で、詳しい生態はほとんど解明されていないため、人工養殖には成功していません。
調査に当たった水産総合研究センターの黒木洋明主任研究員は「産卵場所の発見は、アナゴの生態を明らかにし、漁獲量が減った理由や保護の在り方を考える重要な手がかりになる」と話しています。

アナゴ料理店では期待の声

アナゴ料理店では期待の声

アナゴの産卵場所が特定されたことについて、東京・日本橋にあるアナゴ料理の専門店では、アナゴの安定的な供給につながって値段も安くなってほしいと、期待の声が聞かれました。
東京・中央区日本橋にある料理店では、アナゴを使ったおすしやどんぶり、それに天ぷらなどのアナゴづくしの料理が人気を集め、お昼どきは会社員などでにぎわっています。
店によりますとアナゴの仕入れ価格は漁獲量の減少に伴い、開業した8年前と比べて、2割程度上がっていますが、料理の値段は据え置いていて店の経営にも影響が出かねない状況だとということです。
それだけにアナゴの産卵場所が特定されたという研究結果に、店では、アナゴの安定的な供給につながれば、仕入れ価格の上昇にも歯止めがかかるのではと、期待の声が上がっています。
店長の平井良和さんは「漁獲量が減っていて、価格も上がっているので、アナゴを仕入れるのに苦労しているのが現状です。アナゴ専門店にとっては産卵場が特定されたことは大きなニュースで、安定した価格でよいアナゴが手に入ることを期待しています」と話していました。
アナゴどんぶりを食べていた47歳の会社員の男性は「アナゴは、やわらかくて風味があっておいしいです。安くなれば食べる機会も多くなるので、もっと安くなってほしい」と話していました。