国の基準を超える放射性物質が相次いで検出された埼玉県産の狭山茶について、県の研究機関がその後の放射性物質の量を調べた結果、今月までの4か月間で、3分の1以下に減ったことが分かりました。今後もこの傾向が続けば、ことしの新茶はほとんどが国の基準を下回るとみられています。
埼玉県の茶業研究所は、23日、狭山茶の茶葉に含まれる放射性セシウムの量の分析結果を公表しました。それによりますと、去年の検査で、国の暫定基準値の1キログラム当たり500ベクレルを超えた県内288か所の茶畑を対象に、去年10月から12月にかけて改めてサンプルを採って調べたところ、90%を超えるサンプルでは、1キログラム当たり80ベクレル以下で、全体でも500ベクレルを超えたものはありませんでした。さらに、研究所の茶畑で時間ごとの変化を調べたところ、去年10月には1キログラム当たり71ベクレルだったのが、今月は21ベクレルと4か月間で3分の1以下に減っていました。
このため研究所では、この傾向が続けば、ことしの新茶の茶葉に含まれる放射性セシウムの量は、1キログラム当たり数ベクレル程度まで減るとみています。
お茶に含まれる放射性セシウムの基準は、ことし4月以降、煎茶の状態で、1キログラム当たり10ベクレルとなりますが、煎茶にすると放射性セシウムの濃度は、10分の1程度になるため、ほとんどの新茶が国の基準を下回るとみられています。埼玉県茶業研究所の佐野悟郎所長は、「枝切りなどを通じて、放射性セシウムがたまりやすい一番外側の茶葉が刈り取られた結果、大幅に濃度が下がったと考えられる。新茶の時期に向けて油断せずに調査を続けたい」と話しています。
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