2010年05月07日

■高裁の「誤訳」隠蔽ー記録媒体隠匿の事実

■asahi.com(関西)のネット配信で、2010年5月7日付け、「裁判員裁判の映像の閲覧、2審で認めず/大阪高裁」という記事が出ている。

 これはブログ編者が、弁護士として受任している事件に関する記事だ。
 裁判員裁判で裁かれたドイツ国籍の黒人女性、英語を話す被告人の事件。
 彼女のために配置されたのは、ある関西で有名な旧帝大で、通訳学など専門にもしている男性通訳人。
 しかし、被告人の英語を訳す技法は、あまりにずさんででたらめ。
 聞くに耐えない通訳だ。
 そんな通訳から得た心証で、裁判員が有罪無罪、量刑を決めている。被告人にとってはたまらない。
 では、どれだけの誤訳があるのか、裁判員にはどんな影響があるのか。
 これを審理するのが、控訴審だ。
 ところが、だ。
 実は、驚いた。
 市民の代表が、評議にあたり、裁判官とともに、評議室でみたはずの被告人質問の模様を記録したビデオー記録媒体といって裁判員法65条で正式に作成することとなっている記録ー、これを高裁の3人の裁判官はがんとして見せないのだ。

 そんな馬鹿な話はない、と思って、なんども角度を変えて、閲覧謄写を認めるように働きかけてきた。
 しかし、「なにもしない」という態度をとって、かたくなにDVD(になっているはずの記録媒体)を抱え込んだまま、絶対に被告人と弁護人に見せようとしない。
 結局、『誤訳問題』を隠蔽することと同じ姿勢だ
 公正な裁判を求める外国人被告人の最低限の要求は、「質の高い通訳人」による「正確な通訳」だ。
 それを保障できなかった事実。
 高裁の3人の裁判官のかたくなな態度は、国際社会の水準に満たない我が国刑事裁判の恥部を守りに守ろうとする効果を生んでいる。
 「汚い裁判」をやろうとする高裁の裁判官達。
 その姿勢は、今回の裁判で最後まで糾弾する。

 、、、という前置きと一体として、以下、ネット配信記事の全文引用をするが、今回のブログコメントの主たる内容が、以上の弁護人としての主張にあるとみてもらって、著作権法が認める正当な引用と扱ってほしい。 

**********************

 裁判員が被告の発言や表情を評議の場で再確認するために記録されたDVDの閲覧をめぐり、控訴審の弁護人と大阪高裁が対立している。一審で司法通訳人に「誤訳」されたとするドイツ人被告の主張を検証するため、弁護人が閲覧などを求めたところ、高裁が却下。高裁段階で裁判員用のDVDに関する規定がないことが背景にあるとみられる。制度導入からまもなく1年になる裁判員裁判での判決を不服とした控訴事件が増える中、新たな課題が浮かび上がった形だ。

 このDVDは、裁判員裁判がある地裁や地裁支部に導入された「音声認識システム」で記録されたもので、裁判員が評議で被告の発言や表情、振る舞いなどを確認するために使われる。「裁判員の職務の的確な遂行」をうたった裁判員法に基づく対応だ。

 大阪弁護士会の渡辺ギ修(ぎしゅう、ギは「凱」のへんに「おおがい」)弁護士は、大阪地裁の裁判員裁判で覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)罪に問われ、昨年11月に懲役9年の判決を受けたドイツ人女性被告(54)の控訴審の弁護を受任。被告が一審の司法通訳人2人による誤訳を訴えたことから、公判中の通訳の正確性が問題となった場合に備えて音声だけが録音されたCDを地裁から借り、専門家に鑑定を依頼した。

 その結果、「とても悪い気分になった」を「非常に深く反省しています」と訳すなど、主語と述語がそろった文を二つ以上含む被告の発言の65%(61件中40件)で意味を取り違える誤訳や、訳の一部が欠落する訳し漏れがあった疑いがあることが判明した。
 渡辺弁護士は「正確な分析のためには、被告の口元や表情、手ぶりの検証も必要」と判断。3月中旬、地裁からDVDを引き継いだ高裁に閲覧とコピーを認めるよう申し立てたが、「必要ない」として却下された。さらに最高裁に特別抗告したが、4月12日に退けられたという。

 日本弁護士連合会裁判員本部の小野正典本部長代行によると、音声認識システムで記録されたDVDは、「裁判員裁判中は弁護人にも貸し出すことができる」とした運用が定着している。DVDを立証活動に不可欠な「資料」ととらえ、審理の当事者であれば誰でも閲覧することができるべきだとの考えに立った対応だ。

 これに対し、裁判員が参加しない控訴審では、このDVDの取り扱いのよりどころとなる規定がない。控訴審から担当した弁護人が「事実上の裁判記録」として閲覧などを求めた場合、認めるかどうかの判断は各高裁に委ねられているのが現状だ。

 渡辺弁護士は「控訴審で争点となる誤訳の有無が詳しく分析できず、弁護活動に支障が出かねない」として、大阪高裁に改めて閲覧・コピーを求めたが、今月6日に再び拒否する回答があったという。
 大阪高裁の広報担当者は朝日新聞の取材に「個別の事案については答えられない」と話している。(阪本輝昭)
     ◇
 〈音声認識システム〉 昨年5月の裁判員制度スタートに合わせて最高裁が約4億円をかけて開発し、裁判員裁判が開かれる各地裁・支部に配備された。被告の発言や表情、振る舞いなどをマイクとカメラで記録し、裁判員が評議で有罪、無罪や量刑を決める際に利用する。被告の言葉などを入力すれば、視聴したい場面もすぐに再生できる。