【香港】河村たかし名古屋市長が中国南京市共産党委員会の代表団に対し、1937年の旧日本軍による南京市民虐殺はなかったのではないかと述べたことについて、中国のインターネット利用者は怒りをあらわにしている。
河村発言を受けて南京市政府は21日夜、名古屋市との交流を一時停止すると発表した。
日本が戦時中に南京を占領した際に残された歴史的な傷跡は、日中関係において今も発火点となっている。
河村市長は20日、名古屋市を訪問した南京市共産党代表団に対し、南京虐殺として知られる旧日本軍による南京市民の大量殺害は「恐らくなかったと思う」と述べた。同市長はその後、この発言に対する内外の批判にも屈していないもようで、東京で行った記者会見でもこの見方を繰り返した。共同通信によれば、同市長は「わたしは国会議員時代以降、市民を何十万人も殺害したとする南京虐殺なるものはなかったと(繰り返し)言ってきた」と述べ、「われわれはこれについて、舞台裏ではなく、公の場で躊躇せずに話す必要がある」と語った。
この河村発言は中国のネット利用者から激しい反発を呼んだ。ネット利用者たちはまた、非良心的な侮辱に直ちに反論しなかったとして南京市共産党代表団の対応も攻撃している。
中国版ツイッター「新浪微博(Sina Weibo)」では河村発言は最も書き込みの多い話題の1つになっており、あるユーザーは「南京市は河村に南京虐殺記念館を見学させるべきだ」と書き込んだ。
しかし南京市代表団の団長(Liu Zhiwei氏)の対応のまずさを批判しているユーザーもいる。同団長は河村市長と握手し、しばしばユダヤ人大虐殺のアジア版ともいわれる出来事を同市長が否定したことに異議申し立てを直接しなかった、と共同通信が報じたためだ。
ある微博ユーザーは「南京虐殺のあらゆる亡霊がLiu Zhiweiのドアを叩くだろう」と書いた。
これに対し南京市政府は、人民日報傘下の環球時報に対し、Liu団長は「河村市長の主張に対応した」と述べ、同団長を擁護したが、それ以上の詳細は明かさなかった。
名古屋市と南京市は日中両国が1972年に関係を正常化して6年後の1978年、姉妹都市となった。
名古屋にある中国領事館の代表は、名古屋市役所を訪れて河村発言に抗議、「河村市長の立場を理解できない」と述べ、日中両国が外交関係正常化後40周年を前にして、こうした発言が出たことは残念だと語った。
しかし同領事館は、問題が解決すると期待しているとも述べた。同領事館の報道官は「河村市長の発言は彼自身の見解であり、名古屋市は別の見方を持っているのではないかと思う」と語った。
旧日本軍は1937年12月13日、南京を占領した。各種の歴史的な推計では、その後6週間にわたって日本軍兵士は20万-30万人を殺害したとされている。これに対し日本側の推計では、南京市民の死者数は、2万人から20万人までばらつきが大きい。