皇太子さまは23日、52歳の誕生日を迎えた。これに先立ち21日に記者会見し、1年で最も印象に残ったことについて東日本大震災を挙げ、「常に頭から離れませんでした」と振り返った。心臓の手術を受けた天皇陛下については、術後の見舞いで「いつもと変わらない声を聞き、安堵(あんど)しました」と語り、政府が検討を始めた「女性宮家」に関しては「親としていろいろと考えることもありますが、発言は控えたい」とした。
皇太子さまは、陛下の手術翌日の19日、秋篠宮さまと一緒に見舞った。会見で皇太子さまは、陛下が「お見舞いありがとう」と、はっきりとした口調で話したと説明した。
課題となっている「公務の負担軽減」については「配慮がますます重要」とする一方、「陛下のお気持ちに沿って考えるべきだ」とした。秋篠宮さまが昨年11月の会見で述べた「公務の定年制」については直接の言及は避け「いろいろな選択があるのでは」と語った。
皇太子さまは昨年11月に陛下が気管支肺炎で入院した際に約1カ月間、国事行為の臨時代行を務め、今回の手術でも17日から臨時代行を委任された。会見では、国賓の接遇など初めての体験もあったとして「研さんを積まなければならないとの思いを強くいたしました」と述べた。
雅子さまの回復状況や、長女愛子さまの登校が順調な様子も説明。皇室制度に関して秋篠宮さまが昨年、「私もしくは皇太子殿下の意見を聞いてもらうことがあっても良い」と語ったことに関しては、「今まさに政府が検討を始めたばかり」として発言を控える姿勢を示した。【真鍋光之、川崎桂吾】
--1年を振り返っての印象を。
震災のことは常に頭から離れませんでした。今なお震災や原発事故などで故郷を離れたり、不自由な暮らしをされたりしておられる方々のことを考えると心が痛みます。
--天皇陛下の公務の負担軽減に関し、「定年制」が話題になりました。
過度の負担がかからないよう、配慮がますます重要になってくると思います。同時に、お仕事の一つ一つを心から大切にお考えになっておられる陛下のお気持ちに沿って考えるべきであると思います。周りで一生懸命に検討することが大切で、いろいろな選択があるのではないかと思います。
--皇室制度に関し秋篠宮さまは昨年、「私もしくは皇太子殿下の意見を聞いてもらうことがあっても良い」と発言されました。
両陛下や秋篠宮とはさまざまな事柄につき話をする機会がありますし、発言についても承知しております。内親王(愛子さま)の親としていろいろと考えることもありますが、この問題は、今まさに政府が検討を始めたばかりであり、今後、国会をはじめいろいろな場で議論が行われることと思いますので、それ以上の発言は控えたいと思います。
--雅子さまや愛子さまのご様子は。
雅子は自分自身の体調のこともある中で、本当に頑張って愛子を支えたと思います。焦ることなく徐々に活動の幅を広げていってほしいと思っております。愛子は今年に入ってからは、従来通りの形で通学し元気に過ごしています。管弦楽部に入部したことが大きな励みになったように思います。
毎日新聞 2012年2月23日 5時00分(最終更新 2月23日 8時05分)