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ライフ
【これで安全?安心? セシウム新基準】(上)過剰な対応
2012.2.23 08:48
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コープふくしまの野中俊吉専務理事は「現行の基準値で食品中の放射性セシウムは十分低く保たれている。基準値を厳しくすることで安心を提供したい国の意図は分かるが、事故に向き合っている被災地にさらにむち打つことになりかねない」と疑問を投げ掛ける。
小さい低減効果
基準値が厳しくなることで、福島県の農業や漁業は今以上に厳しい状況に追い込まれる可能性がある。JF全漁連(東京都千代田区)漁政部の小川新二次長は「新基準になることで、これまで出荷できていた1キロ当たり100~500ベクレルの魚が出荷できなくなる。出漁が難しくなる漁師も出るだろう。また、(厳しい数値のため)出荷停止が増えれば、魚介類への風評被害が広まるのではないか」と心配する。
ただ、放射性物質には発がんリスクがあり、食事から取り込む量はなるべく少ない方がいいともいえる。このため、より厳しい数値となることで、食品の安全が今より高まると考える人は少なくない。
新基準になることで、体への被曝線量をどれだけ減らせるのか。
厚労省の推計によると、新基準に移行した場合に低減できる被曝線量(中央値)は年間0・008ミリシーベルト。北海道と大阪の自然放射線量の差は年間約0・1ミリシーベルトだが、新基準値に移行して減らせる線量はそれよりもはるかに少なく、リスクの低減効果は非常に小さい。
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