47NEWS >  47トピックス >  超おすすめ

47トピックス

【原発の不都合な真実】東京電力の販売電力量は工場など大口市場が6割強、一般家庭など小口市場が4割弱なのに利益に占める大口電力の割合は1割にも満たない


 

原発の不都合な真実

 もう一つの問題点は、適正費用と原発建設の関連だ。

 東京電力の「適正費用」は約5兆3300億円である。最も大きいのは、石炭や天然ガスを購入する燃料費だが、「修繕費」と「減価償却」の合計が全体の20%を占めている。きちんとした情報公開がなされていないので、実際の所は知るよしもないが、減価償却費や修繕費は、原発の方が、火力発電所など高いと考えられるので、ここでも建設費が高い原発を建設しよう、とのインセンティブが働くことになる。電力会社が、小規模分散型の再生可能エネルギー開発への投資には不熱心で、多額の投資を伴う原発の建設に熱心だった背景の一つがここにあるといえる。

 最初に述べたように、この料金制度は、50キロワット未満の小売価格、つまり家庭用の電気料金の決め方に関するものだ。工場など大口の電力市場は自由化が進んでいるので、料金の決め方はさまざまだ。

 ほとんどの場合、需要家との相対交渉で決められるという点が、電力会社の言い値で電気を買うしかなく、しかも自由化が進んでいないので、東京電力から電気を買うのがいやだからといって、別の会社から買うことができない一般家庭とは大きく異なっている。


clip_image001.jpg


 電力市場が自由化されて競争が激しくなり、場合によってはコージェネレーションや自家発電設備を導入することもできる大口向けの料金は引き下げ圧力が強く、電力会社にとって収入が上がるビジネスではなくなっている。東京電力の販売電力量は大口が6割強、小口が4割弱であるにもかかわらず、利益に占める大口電力の割合は1割にも満たない。電力会社にとっての大きな収入源は、上記のように原発を造れば造るほど、利益が上がるという料金制度に支えられた家庭向けの電力ビジネスなのだ。

 このような料金制度の大きな問題点は、電気を売れば売るほど電力会社が儲かる、という仕組みになっていることだ。

 結果的に、日本の電力会社には、コスト削減のインセンティブも少なければ、顧客に省エネやピークカットを働き掛けて発電所建設のコストを減らすことで収益を上げるというインセンティブも働かなかった。

 大口電力の自由化以来、日本の電力会社がこぞって進めてきたのは、ゼネコンや家電メーカーと協調したオール電化住宅の強力な販売促進だった。これにより日本のエネルギー需要の中での電化率は上昇し、家庭の電力需要も急激に増加。「増加する電力需要を満たす必要がある」として、原発の建設が進んだ。

 しかも、日本のエネルギー政策では、単位当たりの二酸化炭素排出量が天然ガスなどに比べて非常に多い石炭火力発電が、原発とともに推進され、総発電量に占める石炭火力の比率が急増。この結果、1kwの電気をつくる際に出る二酸化炭素の量も増加したため、電力需要の増加は排出量の増加に直結するという結果を招いた。

 「電気を売れば売るほど儲かる仕組み」というのは日本では当たり前のように思えるが、米カリフォルニア州の専門家に言わせると「電力を売って利益を伸ばすという考え方は、もはや30年前の古い考え方」だそうだ。省エネのインセンティブを造る「デカップリング」という制度を導入しているカリフォルニアなど、電力市場の自由化とともに、各国でさまざまな料金制度の研究や実践が進んでいる。

 エネルギー政策の見直しの中で、家庭を含めた自由化の推進と50年間、変わっていない料金制度の改革が急務だといえる。(この項終わり)

 シリーズの記事一覧はこちら

2012/02/22 20:04

ロード中 関連記事を取得中...


コメント

電力需要が増えたのは、70年代、80年代であり、経済成長と多様な製品の出現によるもの。オール電化の販売促進が行われた90年代中盤以降は、需要は飽和状態にあり、停滞している。
記事の内容は、事実から乖離し、根拠のないデタラメを流布するものでしかない。

投稿者 ななし : 2012年02月23日 01:53


コメントをお寄せください