2011年12月24日 9時28分 更新:12月24日 11時19分
政府は24日の臨時閣議で、12年度予算案を決定した。全体の予算規模を示す一般会計の総額は11年度当初予算比2兆777億円減の90兆3339億円と、当初予算では6年ぶりに前年度を下回った。ただ、東日本大震災の復旧・復興費用(3兆7754億円)を新設する特別会計に別枠化。基礎年金の国庫負担50%維持に必要な約2兆6000億円も一般会計に計上しなくて済む交付国債で手当てした。これらを加えた実質的な歳出の総額は96兆円超と、11年度当初(92兆4116億円)を上回り、過去最大を更新する。
新規国債発行額は前年度比540億円減の44兆2440億円で、「約44兆円以下」とした財政健全化目標は辛うじてクリアしたが、当初予算では3年連続で借金(新規国債発行)が税収を上回る異常事態が続く。「財政投融資特別会計」の積立金など「埋蔵金」が復興財源に回る中、歳入のうち借金が約半分(49%)を占める。借金の比率は過去最悪となった。
国債の元利払いを除いた「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)対象経費」は11年度から2兆4728億円減の68兆3897億円。表向き歳出抑制を示す格好だが、基礎年金の国庫負担分に交付国債を使う手法で、予算計上を先送りした。この結果、社会保障費は全体で8.1%減となったが、国庫負担約2兆6000億円未計上による影響を除いた年金・医療・介護の3経費は前年度比4609億円膨らんだ。債務残高が増加し利払いが増えるため、国債費は1.8%増となる。
野田佳彦政権が初めて編成した年度予算で、野田首相は「日本再生元年予算」と命名。成長戦略などに重点配分する特別枠「日本再生重点化措置」を設けたが、効果は未知数。特別枠の規模は当初約7000億円の想定だったが、米軍普天間飛行場移設問題を抱える沖縄振興策などを積み上げた結果、1兆577億円に膨らんだ。
このほか、地方自治体の使途の自由度を高めた一括交付金を前年度から1.6倍増の8329億円に拡大。一方で公共事業費や地方交付税などを削り、政策的経費の総額を政府目標(基礎年金国庫負担分を除くベースで約68兆4000億円)の範囲に収めた。
歳入面では、企業業績回復で税収を1兆4190億円増の42兆3460億円と見込む。ただ、税外収入は3兆7439億円と前年度からほぼ半減した。
政府は、来年1月の通常国会に予算案や関連法案を提出する。【坂井隆之】