22日午前2時(韓国時間)からモスクワで行われる、欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント第1戦のレアル・マドリード(スペイン)対CSKAモスクワ(ロシア)戦。試合を控えたCSKAモスクワのスルツキ監督が発表した予備出場選手25人のリストの中に、見慣れない韓国人選手の名前があった。今月1日にCSKAモスクワと入団契約を結んだばかりのキム・インソン(23)だ。
キム・インソンは昨年まで、韓国プロサッカーKリーグの2部に相当するナショナル・リーグの江陵市庁に所属し、ほとんど無名に近い存在だった。韓国で目立った活躍のないキム・インソンが、ロシア・リーグで10回の優勝を誇るCSKAモスクワに入団したことも驚きだが、入団から1カ月もたたないうちに、世界が注目するCLの舞台でプレーする可能性が高まっており、注目を集めている。
スペイン、トルコでの合宿を終えてモスクワに戻ったキム・インソンの声ははずんでいた。
「ロナウドの試合を僕以上にたくさん見ている人は恐らくいないと思う。ロナウドの動きをそっくりまねて、自分のサッカーの独創性を磨いてきた。僕のロールモデルとなっているロナウドと同じピッチを走りながら、自分の能力を確認してみたい」
右サイドMFとしてプレーするキム・インソンは、小学4年生でサッカーを始め、2009年にはU20(20歳以下)代表に選ばれるなど、将来有望な選手の一人だった。成均館大3年だった10年には、大学春季大会で得点王にも輝いた。
キム・インソンは家庭の経済事情が苦しかったため、早い段階でのプロ入りを夢見ていた。母親は食堂で働きながら生計を立て、父親は肝臓を患い現在闘病中だ。だが、プロ入りは難しく、Kリーグのチームには見向きもされなかった。Jリーグ入りも目指したが、思うようにいかず、江陵市庁に籍を置いて海外進出のチャンスをうかがっていた。そして昨年11月、単身モスクワに渡り、CSKAの入団テストを受けた。
キム・インソンのプレーを見たスルツキ監督は、180センチの身長で100メートルを11秒で走るスピードを高く評価した。スルツキ監督は「キム・インソンのように電撃的に入団したシンデレラボーイは、100年の球団史上初めて。スピードと正確なクロスは、国家代表のレベル」と語った。
現時点で、キム・インソンが今回のCL決勝トーナメントに出場する可能性は十分に見込まれる。スルツキ監督は、本紙との電話インタビューで「キム・インソンを後半のピンチの場面で切り札として使いたい」と起用する考えを示唆した。キム・インソンは自信に満ちあふれた表情で「合宿を通じ、チームメートたちとも呼吸が十分に合ってきた。CSKAモスクワが09-10年のCLで、スペインのセビージャを破って準々決勝に進出した際には、日本代表の本田圭佑選手が大活躍を見せてサッカー界に新鮮な衝撃を与えたが、その本田選手を超えたい」と意気込みを語った。