「東海」表記を決めた仏出版社編集長に聞く

今年から地図に「東海」と「日本海」を併記

フランスの出版社「ラルース」のフローラン編集長

 「これから生まれる私の孫は、韓国と日本の間にある海に“東海”という名前もあるということを知るべきではないか。それが事実だ」

 フランス最大の辞典・百科事典専門出版社「ラルース」は、自社が出版する『ラルース小百科事典』と『アトラス世界社会・経済図鑑』の地図に、2012年版から「東海」を「日本海」と併記することとした。併記を主導したジャック・フローラン編集長(59)=写真=は「私たちがよく知らなかっただけで、その海が東海とも呼ばれているのは事実ではないか。不正確な情報を正すということ」と語った。

 20日、パリのモンパルナス・タワー近くにあるフローラン編集長のオフィスを訪れると、本棚には各種の百科事典・辞典類がぎっしり並んでいた。この会社が出版する辞典・百科事典の種類は100を超える。特に、1905年初版の『プチ・ラルース』という小百科事典は、子どもがいるフランスの家庭には必ず1冊はあるといわれる「国民的百科事典」だ。フローラン編集長は「フランスのほかにも、スイスやカナダ、ベルギー、一部のアフリカ諸国などのフランス語圏諸国を全て合わせると、毎年70万冊ほど売れる。少なくともこの数くらいは、東海という名前を知るようになる」と語った。

 「東海」併記地図は、韓国を紹介するページに載っていた。紹介文は「東アジアにあるこの国は、韓半島(朝鮮半島)の南側を占めており、東海(日本海)と黄海に囲まれ、北朝鮮と境界を接している」と始まっている。地図には「MER DE L'EST(東海)」と大きな活字で記されており、その下に「Mer du Japon(日本海)」がかっこでくくられていた。東海を先に書いた理由を尋ねると、フローラン編集長は「韓国を紹介する内容のため、韓国で使われている名前を先に書いた」と語った。日本を紹介する地図を探してみると、その地図には「東海」という名称はなく、日本海とだけ書かれていた。フローラン編集長は「特別な理由はないが、この地図にも東海を併記する問題について再度議論してみなければならないだろう」と語った。百科事典の内容変更は、15人の編集委員の討論を経て決定される。

 フローラン編集長が東海という名称に本格的に関心を持つようになったのは、2010年秋の韓国訪問からだった。当時、ある出版社からの招待で韓国を初めて訪れたフローラン編集長は、出版界や学界の関係者と会い、東海名称問題について話を聞いたという。その後、東海という名称を使用していた古い地図に関する情報も集め、東海併記が妥当だという結論を下したという。

 フローラン編集長は、最近フランスでじわりと高まっている韓国に対する関心も、影響を及ぼしたと語った。「1988年以前は、韓国という名前を知っているフランス人は多くなかった。20%くらいだったか。オリンピック(88年ソウル五輪)の後、名前は知られるようになったが、北朝鮮関連の話題以外は、依然として大して関心がなかったのは事実。ところが今は違う」

 フローラン編集長は、サムスンや現代、LGなどの企業を挙げ、また「K-POPも聞いたことがある」と言って笑った。

パリ= 李性勲(イ・ソンフン)特派員
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