出版社が出版物を電子化する作業を国が手助けする仕組みが立ち上がった。実際の作業を担う企業は来月、公募で選ぶ。出版社と企業の間を、出版の業界団体でつくる「日本出版インフラセンター(JPO)」がつなぎ、経済産業省の補助金を受ける。東北や被災地の出版社の書籍などの場合は補助率を上げる。電子化作業も東北で行うことで雇用創出を促進するのが狙い。6万点の書籍のデジタル化を目指す。
JPOが21日、発表した。JPOが受けるのは、出版物を電子化する作業にかかる費用を国が一部負担する経済産業省の「地域経済産業活性化対策費補助金(コンテンツ緊急電子化事業)」。この事業には今年度の3次補正予算で9億9700万円が充てられ、東北や被災地の出版社の書籍や東北に関する内容の書籍には費用の3分の2、そのほかの書籍については2分の1が補助される。
JPOは出版社から申し込みを受け、作業を担う企業に発注する。企業は、電子書籍情報のデータベースを構築できることが条件。企業は、電子化する書籍を被災3県の中心的な図書館に、紙の本の形で1冊ずつ献本する。
被災地では多くの書店が失われただけでなく、被災地全体の雇用状況も悪化。経産省はこの事業で数百人の雇用が創出できると見込んでいる。また、書籍の電子化がコスト面などから進まない出版業界への支援につなげたい考えだ。(山田優)