和歌山県太地町のイルカ搬送作業現場付近を警備していた男性への暴行罪に問われた、反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の支援者でオランダ国籍のアーウィン・フェルミューレン被告(42)の判決公判が22日、和歌山地裁であり、柴山智裁判官は「被害者の供述には疑問の余地があり、合理的な疑いが残る」として無罪(求刑・罰金10万円)を言い渡した。
フェルミューレン被告は、昨年12月16日に飼育施設へのイルカの搬入作業で付近を警戒していた男性の胸を手のひらで突いたとして起訴された。
同被告は「触っていない」などと否認。弁護側は公判で、同被告は右手に無線機、左手にカメラを持ち両手がふさがっていたなどと主張していた。
柴山裁判官は、被害者が左手で押されたとしているのに、カメラを持ちかえるなどしたとは供述していないことから、疑問が残るなどと指摘した。
シー・シェパードはインターネットのホームページで「活動を妨害するためのもの」などと捜査を批判。公判にもメンバーが傍聴に訪れていた。【岡村崇】
原島肇・和歌山地検次席検事の話 予想外の判決。上級庁と相談し控訴の要否を検討したい。
毎日新聞 2012年2月22日 12時50分(最終更新 2月22日 14時07分)