背徳の戦記
|
第1章 01
|
とある大陸に二つの国があった。一つは大陸全域を支配している帝国。もう一つは山脈に隔離された半島にある王国。 これまで帝国と王国との関係は、良好とまでもいかなくとも、険悪なものではなかった。帝国としても戦略的価値も、そしてさしたる特産物もないこの王国を、長大な山脈を越えてまで占領する必要はなかった。それでも王国は年に一度親善大使として、ささやかながらも装飾品や金などを献上し、その平和を保ってきた。慎ましやかながらも、その平和を、幸せを王国は味わっていたのだ。 しかし、ショッキングなニュースが大陸全土を駆け抜けた。
|
||||||
|
|
|