県は21日、粟野川(鹿沼市入粟野)など3河川で採取したヤマメから1キロあたり106~248ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。国の暫定規制値(同500ベクレル)は下回るものの、4月から新たに導入される一般食品の基準値(同100ベクレル)を超えたため、県は同日、3河川を抱える4漁業協同組合に、ヤマメやイワナなどの渓流魚の解禁延期を要請。導入前の新基準値の採用に踏み切った理由について県は「新基準で判定した方が現場は混乱せず、安全面でも県民の理解を得やすい」と説明した。
県生産振興課によると、新基準値超えのヤマメは粟野川(同248ベクレル)のほか、渡良瀬川(日光市足尾町、同162・6ベクレル)▽箒(ほうき)川(那須塩原市中塩原、同106・1ベクレル)--で、14~17日に採取。それ以外の川で採取した分は新基準値を下回ったという。
3河川は3月3~21日に渓流魚の解禁時期を迎える。同課は「大変なことではあるが、安全・安心のため。各漁協にも理解をもらっている」としている。具体的な解禁時期は未定としながら、継続的に測定する中で、100ベクレルを最低でも3回連続で下回れば延期要請の解除などの対応を漁協と協議するという。
箒川の上流部をエリアとする塩原漁業協同組合(坂内正明組合長)では、3月3日に解禁予定だった「特設釣場・ルアー&フライ専用エリア」の延期要請を受けた。4月1日からの「渓流釣り」は、来週からの検査を待つことになった。
特設釣場は大型のニジマスがキャッチ・アンド・リリースで楽しめ、シーズン中には県内外から3000人が訪れている釣り場。坂内組合長は「解禁間際で困った。釣り人は楽しみにしているが、どうにもならず延期するしかない。4月からの渓流釣り解禁には影響がないことを願うしかない」と困惑しきりだ。【岩壁峻、柴田光二】
毎日新聞 2012年2月22日 地方版