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【第598回】 2012年2月22日
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週刊ダイヤモンド編集部

損保初の家主向け保険が好調
背景は賃貸での“孤独死”急増

 病死や自殺などにより誰にも看取られることなく、自宅でひっそりと逝く孤独死。そんな悲劇が賃貸住宅で起きたとき、家主にのしかかる原状回復費や家賃減額分を保証する新しい保険が登場し、家主たちの注目を集めている。

 昨年末、損害保険会社で初めてこの保険の販売を開始したエース損害保険は「正確な集計はまだ」というものの、「反響は予想以上に大きい」(同社担当者)と鼻息は荒い。同社の「オーナーズ・セーフティ」の保険料の一例は、年額3350円。この場合、家賃6万円の30平方メートル以下の住宅で、原状回復費100万円に空室期間中の家賃保証などを行う。こうした保険に期待が高まるのは、賃貸での孤独死急増が背景にある。

 「ここ数年、賃貸での孤独死に頭を痛めている」と賃貸業界関係者は異口同音だ。事実、東京23区だけでも孤独死の数は、2003~07年の間に約1.4倍の4000件近くに急増している。

 このうち、都内の単身世帯の持ち家比率は約23%(住宅・土地統計調査、08年)にすぎないため、孤独死する人の7割程度が賃貸住宅に居住していると見られている(全国平均では、単身世帯の約57%が民間賃貸に居住する。金融広報中央委員会、10年度)。

 孤独死が起きた際、家主の被害額は甚大だ。たとえば、浴室で手首を切って自殺した場合、排水管ごと交換するため、100万円前後のカネが必要になるという。遺体が長期間発見されず腐敗した場合は凄惨を極め、「原状回復費は数百万円。500万円近くかかるケースもある」(業界団体幹部)。

 “事故物件”の家賃は、3~5割引きが相場。死者に身寄りがないと、損害賠償請求もできず、現状のまま放置する家主もいる。別の業界団体幹部は「昔は賃貸=持ち家への通過点だったが、今は終の棲家。高齢化、非婚化で今後は賃貸での孤独死がさらに増える」。家主のため息は深刻さを増しそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)

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